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【書評】米国(または安倍政権)に立ち向かうための1冊


日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
矢部宏治著(集英社インターナショナル:2014年)

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この本を読んだ衝撃は強すぎて、まだ感想を書くには早すぎるのですが、でもこの安保法案の結論が出るまでに1人でも多くの人に読んでほしいと思い、今書くことにしました。

安保法案の審議が始まってから、この法案を推し進めようとする政治家の「筋の通らなさ」や、一方で国民の声をなぎ倒して通そうとする不気味なまでの「強さ」に戸惑ってきました。でも安倍政権の「強さ」を裏で支えているのは、どうやら米国であるらしいことも分かってきた。

この本は、その強さの源泉がいかに根深く巨大な米国の支配欲から生まれ、日本の権力欲ともがっちり結びついているかを、すっきり整理して見せてくれます。

ポイントをまとめてみます。
まず著者は、「絶望的だけど日本人が受け入れるべき事実」をいくつか指摘しています。

■日米の為政者は、日米安保協定を「すでに」日本国憲法より上位の存在と位置づけていること。日本の基本方針は徹底的な米軍への服従であるということ。結果として、事実上日本の領土は今も米軍に完全に占領された状態であるということ。

■第二次世界大戦後の戦勝国(連合国)による世界安全保障体制は「勝ち組」と「負け組」を今も厳然と区別していて、日本は永続的に「負け組」であると国連の条文上で位置づけられていること。

■ドイツ、フィリピンは、「外国軍が占領している間は国家として独立できない」ことに早くから気付き、すでに自国から外国軍を撤退させていること。特にドイツは周辺国家との関係改善に努めて敗戦国という立場を事実上脱することに成功したのに、日本は全くその路線を取っていないこと。


■結果として、日本はいつまでも米軍からの独立が果たせず、かつ周辺国との政治的な関係改善に本気で取り組んでいないために、軍国化して地域を不安定にするかもしれない要注意国であると、勝ち組から見られていること。引いては監視役としての米国が日本に駐留する対外的な口実を与えていること。

■日本領土を軍事的利権とみるアメリカは、天皇制の保護と引き換えに、天皇の統治力を利用して日本を裏から統制する方法を成功モデルとして堅持していること。昭和天皇は米国を利用して身分の保証を図ったこと。

■原子力発電でも安保と同様の日米協定があり、やはりアメリカの政策への絶対的な服従が基本方針であること。同時にアメリカは、日本に原発を押しつけながら「日本が原発を軍事利用しないよう米軍の駐留が必要だ」として、原発の存在を駐留の口実にしているということ。


こうした絶望的な事実を受け入れた上で、まだ日本が修正する道はある、と著者は言います。著者の主張は、米軍を撤退させて民主的に憲法を変え、自国の自衛体制を整えること。私も同じ考えです。

そんなことできるのか、と思うのですが、フィリピンやドイツがそれを実現させている、という話はかなり勇気づけられるものでした。いろいろ調べてみたいな。

ただ、日本が独立するためには、米国によって憲法を形骸化されないように守らなければいけない、と著者は言っています。どんなに弱い国でも、主権者の権利に他国が介入することは世界の世論が許さない。だから弱い国は、主権者の権利を保証する憲法を盾にして大国と(外交交渉で)戦えるのだ、と説明しています。

以上はすべて、近代史を詳細に検証した結果として分かっていることです。為政者は学校で教えないけど、主権者(市民)として知らなければいけないことがある。そして調べていけば、問題の回答が自然に見えてくるんだ、という確信が持てる。そういう本です。

アマゾンのレビューでもすごい反響です。ぜひ読んでください。




 

強行採決の日:アメリカの報道を読む

日本の軍事的役割拡大、国防総省と関係業者に朗報か(翻訳)
2015年7月16日付フォーリンポリシー誌 デイビッド・フランシス(←原文はこちら)

第二次世界大戦後に攻撃的な武力戦闘をやめると誓った国・日本は本日、海外での戦闘に従事する権限を自衛隊に与える法律を通すことによって、これまでと全く異なる方向への第一歩を踏み出した。それは米国防総省が数年来希望していたことであり、防衛関係の取引業者にとって非常によい知らせであろう。

1月に、保守的な日本の安倍政権は5兆円(420億ドル)近くの防衛予算を承認した。防衛予算は10年近く減少したのちここ3年間は増え続けている。世界銀行によれば、その金額が日本のGDPに占める割合はまだ低く、1%に過ぎない―だが攻撃的な武力戦闘が憲法で禁じられているため、地味な増加であっても議論を呼ぶのだ。自衛以上の行動に従事する権限を自衛隊に与えることで議論を呼んだ11の安保関連法案が強行採決された日の前夜、抗議者たちは国会の外でこの政策転換に反対する集会を開いた。

今年の防衛予算は、日本の軍事能力を向上させようとして増している大きな圧力の一環だ。安倍は2014年から2019年の間に24兆7000億円(2400億ドル)を拠出し、F-22,F-35や無人偵察機グローバルホークを含む新しい戦闘機、軍艦、無人偵察機を購入すると約束していた。彼はまた米国家安全保障会議をモデルにして、軍事事項を首相に諮問する会議も組織した。

日米は第二次世界大戦の直後から同盟を組んできた。4月にも安倍がワシントンを訪れ、両国の当局者は関係強化を約束した。

「これが歴史の奇跡でなければ何と呼べばいいんだろうか。あんなに激しく戦った敵が、魂でつながった友になるとは」と安倍は国会の合同会議中、米国議員に語った。

同じ訪米中に、日米は新たな合同防衛ガイドラインの合意を明らかにした。これは二国間のより広範な軍事協力を可能とするものだ。合意の一部として、日本はたとえ自国が攻撃されていなくても、米国の領土に向けて発射されたミサイルを撃ち落とすことに合意し、日米の軍事要員はより緊密に協働できることになった。

この協定が報じられた時、ジョン・ケリー国務長官とアッシュ・カーター国防長官と日本側幹部である岸田文雄外務大臣、中谷元防衛大臣は共同声明を発表し、新ガイドラインは「核と非核を含めた米国の軍事能力のすべての範囲において日本の防衛に対して米国が強固に関わり合っていくこと」を示していると述べた。

日米がこの地域に軍事資源をより配分していこうとして軍事協力を強めていることには非常に特殊な理由がある。それは中国だ。日本政府は東シナ海の尖閣諸島(中国は釣魚島と呼んでいる)を巡って中国政府と緊張したこう着状態に陥っている。中国はまた南シナ海の係争水域で軍事戦闘機が使用できるコンクリート滑走路を建設している。この二国の厳しい舌戦は激化しており、今回の議決に対しても中国政府は厳しい反応を示した。

中国外務省の華春榮報道官は、法案が衆議院で可決されたあとの声明の中で以下のように述べた。「我々は日本側が歴史から厳しい教訓を得て、平和的発展の路線を守り、アジアの隣人の重要な安全保障問題を尊重し、中国の統治権や安全保障の利害を脅かしたり地域平和と安定性を損なうようなことを慎むよう、厳正に求める」。

今のところ、日本が中国の統治権を今にも脅かすかもしれないという考え方はまだ笑い話に過ぎない。報告書類によると中国政府の2015年の防衛予算は10%増えて、米国に次ぐ約1450億ドルという規模になった。

しかし、2400億ドルあれば日本政府も新しい軍事装置を大量に買うことができ、米国の防衛関係業者にとってはありがたいことだ。F-35はテキサスに拠点を置くロッキード・マーティン社製であるし、軍艦類は北バージニアのBAEシステムス社製だ。

日本政府は米国本社のノースロップ・グラマン社の無人偵察機グローバルホークを購入する計画で、また米国政府と共同でイージスレーダー搭載の駆逐艦とミサイル防御システムを開発している。

ワシントンの日本大使館は、本日の議決に関するコメントを求めても応じなかった。
中国軍隊の台頭と米国防総省の軍事力抑制傾向が、安倍に変更を迫っている同盟者の言動のキーポイントだ。昨年、磯崎陽輔内閣総理大臣補佐官は、「世界の警察の役割を演じる余裕はもう米国にはない」と述べた。

「すでに、日本が何もしないのに米国が私たちを守ってくれるという時代ではないのだ。米国と肩を並べて、自分の役割を引き受けることが非常に重要なのだ」と彼は言った。

安倍首相に「手紙」を書きました



 仕事や原稿がかなり処理できたので、以前投稿した「国会議員に『お返事』しよう」と呼びかけたまま放り出していたお手紙を、ようやく書きました。

 デモに行っても、SNSサイトで何か書いても、何かすっきりしないという人は、一度は直接意見を言ってみることをお勧めします。私もこういうことをしたことないんですが、自分の気持ちをすっきりさせないと日常業務にも集中できないので、本当にやむを得ず書いてみた、という感じです。

 相手に直接届くとなると、やっぱり読んでもらわなければと思うので、「時候のあいさつは残暑にしようか、晩夏にしようか」など細かいところから始まり、きちんと礼儀を守って書く中で、ちょっと冷静になれるという良さがありました。

 あと、脈絡のない自分の不安や怒りに筋道をつくらなければいけないので、結構自分の頭の中を整理できます。逆に言うと、整理できないと自分の言葉が減って説得力のない文章になるし、何より自分の言葉で吐き出さないと、自分がすっきりしないような気がします。

 書いて良かったです。ポストに入れれば、後は野となれ山となれ(笑)。民主主義とはいえ、市民1人ひとりが自分の気持ちを形で表さなければ、政治家の人も市民の意思を政治に反映できないと思います。一般市民は何もしなければ「1票」に過ぎない存在だけど、意見を政治家にきちんと届ければ1票以上の影響力を以て民主主義を行使できるのかもしれないと、あらためて思っています。

安倍首相に名誉アメリカ市民の称号を

今回のタイトルは、アメリカの人はこう思っているんじゃないか、という感じでつけてみました。

最近「安倍首相が強気な理由は、アメリカを味方につけていることにあるんじゃないか」と思って、いろいろアメリカ関係の記事など見ていました。結論としてはその通りで、今の法案と首相の主張が、アメリカの政策と完全に同調していて驚きました。

まず全体像をつかむのに一番よかったのが、月刊誌『KOKKO』編集者・井上伸氏のブログ「EDITOR」で掲載されていた渡辺治一橋大学名誉教授の記事「安倍政権が集団的自衛権行使に執念を燃やす理由」でした。
http://editor.fem.jp/blog/?p=106

ざっくり解説すると、アメリカは「世界の警察」を標榜して各地の紛争に直接介入していたけれど、財政難になり議会でも批判されて、軍備縮小路線に転換せざるをえなくなった。そこで手薄になるアジア地域の安全保障(中国、北朝鮮の牽制)に関しては日本に肩代わりをしてもらおうと政策転換をしている。これをアジア地域の「リバランス(rebalance)戦略」と呼んでいます。

背景には、日本経済が世界に進出して利益を上げているのに、中東などでの紛争時のリスクだけアメリカに負わせるのはずるい、というアメリカの主張があります。日本の大企業もそこを突かれると弱い、と思っている。だから実は財界は、今回の法案に賛成しているのが実情のようです。

と、ここまでが記事の内容。あとは、安倍首相はアメリカで「任せとけ」と何度もアピールしてしまい、アメリカは先行して予算まで組んじゃった。なので安倍さんはアメリカ国民への”公約”を果たそうと、日本国民の声を無視してでも法案を通すために一生懸命(←イマココ!)という感じです。

   ■   □

渡辺先生の話をアメリカ側から裏付けているのが、2015年8月9日付ボストングローブ紙のオピニオン面に掲載された、シンクタンク「EastWest Institute」フェローの J. Berkshire Miller氏の意見記事「安全保障の厳しい試練に直面する日本の安倍晋三内閣総理大臣」(英文)です。

印象的な点を引用してみます。カッコ内は私の私見です。

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「安倍は、自国の防衛と地域の安全保障におけるより広範な貢献という両面で、東京が積極的な役割を果たすべきであると主張してきた」
(日本では中国や北朝鮮の脅威論だけを強調して、「日本がアジア地域の安全保障を引き受ける」とは一言も言ってないのに…)

「ワシントンは日本をアジア地域”リバランス戦略”の基礎と捉えてきた。リバランス戦略とは、アジア地域の安全保障において東京により大きな役割を果たしてもらうよう東京への依存度を高めていく政策転換である」
(リバランス戦略の説明です。アジア地域の安保体制は、日本にもっと任せたいと明言)

「ワシントンが法案を支持しているにもかかわらず形勢が悪化した日本の総理大臣は、地域の周辺国家との関係などの重要な課題について、より実利主義的になるべきなのだ。支持率を上げるためには、安倍は中国、ロシア、コリアとすら関係を修復することで、外交的腕前を見せて点を稼ぐことを考えてもよいのではないか」
(とにかく支持率を上げるために、周辺国との関係を良くしろ、という安倍さんへの注文です。昨日あたりから首相が北朝鮮やロシアを訪問するという噂が流れているのは、アメリカからの意見があったからかも)

「アメリカと同調して世界的平和と安全保障に貢献し日本の役割を高めるために、自分の政権が積極的に関わっていくんだと強調してきた。審議中の法案が通過すれば、その通りになるだろうが、安倍はそれだけでなくもっと討論や批判を寛容に受け止め、日本の歴史に対する個人的な見解をもっと隠しておくべきである」
(安倍さんが右傾的スタンスで中韓を刺激するようでは日本にアジア地域の安保を任せられないので、個人の右傾的思想は隠しておけ、と助言しています)
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さて、ここまでアメリカの政策に組み込まれている安保法案。安倍首相にはアメリカ政府、日本の大企業、右翼の人たちが味方についている。だから、一般市民の意見を無視しても堂々としていられるんですね。

一般市民の意思の象徴である憲法を壊してでも、アメリカ市民との約束を果たそうとする安倍首相。あなたはどこの国の公務員ですか。

1人でアメリカに行って「安保を引き受ける」と無責任に演説したようですが、その結果は日本ではなく、あなた自身の責任です。同調して突っ走った政府関係者も全て、同罪ではないですか。廃案になって失うお金(コスト)は、どうせ私たちの税金なんですから、本当に廃案にしてほしいと思います。

戦争できない国が他国の安全保障をするなんて、無理に決まってるじゃないですか。アメリカの声に惑わされて日本の立ち位置を見失わないでください。日本には日本の役割があり、だからこそ独自の成長を遂げてきたんではないですか。

やるなら冷静に、そして正々堂々と改憲手続きをへて、日本市民の声に従うべきです。

日本の民意と憲法を壊してまでもアメリカに忠誠を誓う安倍首相を、私は許しません。

   □    ■

(翻訳)
ボストングローブ オピニオン記事
「安全保障の厳しい試練に直面する日本の安倍晋三内閣総理大臣」
By J. Berkshire Miller | 2015年8月9日

第二次世界大戦から70年後、日本の安倍晋三内閣総理大臣は、自分の受け継いだレジェンドを投げ打っても、日本を”普通の国(normal state)”に変えようとしている。そのため安倍と政治同盟者は、日本が憲法(特に戦争放棄を定めた9条)によって縛られ続けるのは異常だと本気で主張している。日本憲法は第二次世界大戦後の1947年に施行された。憲法によって紛争解決のための武力の行使(ただし自衛を除く)は禁止されてきた。

現在提案され参議院で審議されている日本の法律改正案は、共通の脅威に向かって戦う同盟国や緊密な関係を持つ国に関して、日本がその国を防衛する権利を持つのかどうかという賛否両論の問題を抱え、行方が注目されている。議決は9月末までに行われる見込みだ。

安倍は、自国の防衛と地域の安全保障におけるより広範な貢献という両面で、東京が積極的な役割を果たすべきであると主張してきた。

法案が通った場合、日本の安全を脅かす直接的で切迫した脅威が発生する状況になれば、日本はアメリカや他の緊密な関係国を補佐できるようになる。最もよく引き合いに出される例が、アメリカの船を狙って日本の領空を飛ぶ北朝鮮のミサイルである。現在の法の下では、日本はそのミサイルの迎撃を禁止されている。

今回の提案された法案は、アメリカ国内の多数者と安倍政権の自民党によって支持されている一方で、日本の野党や、法改正の合憲性について疑問を呈する法学者から鋭く批判されてきている。安保行動は大衆にも受けが悪く、ほとんどの世論調査では不支持が半数以上という結果が示され続けている。日本人は多くが防衛面における法改正、とりわけ憲法を巻き込んでの改正をしぶっている。

安倍は個人的にも世論調査で困難な状況に陥っている。彼の支持率は2013年の74%から、現在37%まで急落している。

2012年に就任した安倍にとって希望の兆しがあるとすれば、それは翌年まで選挙を行わないで済むということである。そのため野党はあまりけん引力を得られない。しかし安倍の状況を救うにはこれだけでは不十分である。彼はまた、別の困難にも陥っている。2020年東京五輪での予算総額超過と計画の問題、延々と続く経済の問題、そして第二次世界大戦後の日本の歴史的立ち位置に対する修正主義者的な安倍の姿勢に対する大衆の懐疑などだ。安倍は、戦時中に東京が行使した武力侵略についての受け継がれてきた談話に疑問を呈することによって、日本の近隣国家(主に中国と韓国)の怒りを招いてきた。安倍はまた、2013年後半に日本の戦没者を奉って賛否が分かれている靖国神社を参拝することによってソウルと北京の緊張をかき立てた。

この不安定な状況の中、アメリカと日米関係にとって重要な契機が生まれている。まず安保法案の通過が、安倍の4月の訪米中に発表された日米新防衛ガイドラインの重要な補完となることである。ワシントンは日本をアジア地域”リバランス戦略”の基礎と捉えてきた。リバランス戦略とは、アジア地域の安全保障において東京により大きな役割を果たしてもらうよう東京への依存度を高めていく政策転換である。

安倍の徐々に低下する政治支持もまたアメリカにとってひとつの契機となっている。ワシントンが法案を支持しているにもかかわらず形勢が悪化した日本の総理大臣は、地域の周辺国家との関係などの重要な課題について、より実利主義的になるべきなのだ。支持率を上げるためには、安倍は中国、ロシア、コリアとすら関係を修復することで、外交的腕前を見せて点を稼ぐことを考えてもよいのではないか。

さらに、大衆の安倍政権に対する不信があるがゆえに、第二次世界大戦の日本敗戦70周年で8月15日の安倍談話が控えている中、歴史問題の和解ムードを促す国内圧力が強まっている。

就任直後の安倍はアメリカを訪れ、「日本は戻ってきた(Japan is back)」と宣言した。その旅行中、そして別の機会にも、アメリカと同調して世界的平和と安全保障に貢献し日本の役割を高めるために、自分の政権が積極的に関わっていくんだと強調してきた。

審議中の法案が通過すれば、その通りになるだろうが、安倍はそれだけでなくもっと討論や批判を寛容に受け止め、日本の歴史に対する個人的な見解をもっと隠しておくべきである。

J.Berkshire MillerはEastWest Institute東アジアのフェローであり、またオタワに本部を持つCouncil on International Policyのディレクターである。

8月6日と軍事と政治のもやもや



広島の平和記念式典に行ってきました。ああいう場所に行くと、もやもやした思いが形になっていくのが不思議です。何なんでしょうね。安倍首相の姿を直接見たからかな(笑)。

政治の話ですが、思いつくままに、書いてみます。

■集団的自衛権と軍事ビジネス

よく考えると、これまで70年間は戦争を抑止できていたのに、これからはなぜ個別的自衛権で日本を守れないのでしょうか。政府から納得のいく説明を聞いたことがない気がします。

結局、個別的自衛権で不十分なのはアメリカであって、日本ではないと思うのですが、どうでしょうか。

だけど日本政府はアメリカの要求を丸のみして、主語を無理やり「日本」に変えて「日本は集団的自衛権が必要だ」と説明するから、私にとっては「なんで遠くの国の戦争に加わってリスクを高めるんだ」と筋の通らない話になる。

主語がアメリカなら、筋が通ります。当のアメリカはリスクだけじゃなく、戦争前後の「戦争抑止活動」も含めて、十分に軍事ビジネスで”利益”を得る公算があるから海外に行っているのではないでしょうか。

もしかして日本政府は、アメリカから「第三国の戦争に参戦できるようにすれば、あなたにも“利益”が得られるようにしてあげる」と「うまい話」を持ち掛けられているのかもしれません。でも本音を口には出せない。だから「海外に行ってもリスクはない」と説明し続けるしかないのかな、と思います。

戦争も戦争抑止活動も、軍事ビジネスが底にあります。かつて資源と領土を求めて行った戦争は「侵略戦争」と呼ばれました。では、軍事ビジネスが高じて起きた戦争は、何と呼べばいいんでしょうか。「戦争抑止」の名の下で威嚇のための軍備を増やしたり、軍需品を生産し売り続ける”正義”の国々。アメリカは、他国で過剰な「戦争抑止」活動をした末に戦争に巻き込まれたときのリスクを分散したくて、日本を海外へ行かせようとしているのではないでしょうか。



ここ数年の金融犯罪で、脅迫する人、預金口座を提供する人、お金を降ろしに行く人、金を運ぶ人を全く別の人にやらせて組織的に一つの犯罪を行う手口が流行しました。集団的自衛って、この組織犯罪の軍事版として、組織化の役割を担っているのではないか、と思うのです。武器を作る人、売る人、運ぶ人、使う人…。そして戦争というリスク自体は自国の領土で起こらないようにする。

■憲法は日本の立場を守るカードだった

日本の個別的自衛権は、日米安全保障協定(アメリカの傘)があるからこそ、他国に対する効力を持っています。だから、ある程度アメリカに歩調を合わせなければいけない。これは自業自得だと思っています。

ただ、憲法を正面から改正せずに内側から掘り崩す(解釈による改憲)形で壊してしまうことが、日本のアメリカに対する立場をより弱めることになるのではないでしょうか。私はとても心配しています。

先日暴露されたアメリカの日本政府盗聴事件で分かるように、国家間の関係は「銃口を向けながら握手する」ダブルスタンダードが実情です。だとすれば、日本はもっとアメリカと距離を置いて渡り合えるよう、交渉の「カード」を残すべきではないでしょうか。

平和憲法は確実に、自民党がアメリカに対して自国の立場を主張するときの「カード」であったはずです。第二次世界大戦後の疲弊していた時期に朝鮮戦争やベトナム戦争に参戦しなくてすんだのは、「憲法」を盾に戦争を拒むことができたからではないでしょうか。戦争を拒めなかった韓国は(日本の侵略のせいで)ボロボロであったにもかかわらず二つの戦争に加わり、大きな痛手を負い、日本より経済発展の時期が遅れました。

今回、アメリカの意のままに「解釈改憲」によって自らそのカードを捨てようとしていることに、自民党の人は気付いていないのではないでしょうか。それとも憲法より強硬に自国の立場を主張できる「カード」があるんでしょうか。



もしかして、「アメリカの言う通りにしていれば悪いようにはならない」という惰性的な信頼感を持っているんでしょうか。そんなに他国を盲目的に信じていいんでしょうか。日本政府の中枢を盗聴されて、他国(オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス)に回し読みまでされているのに。

■戦争は最小限でいい

戦争はきっとゼロにできる、とは思っていません(だって、人間だもの)。でも、最小限でいい。最小限にするための努力を本当にアメリカはしているのでしょうか。アメリカと対等な関係を結んでいると自負するなら、そこをまず問いただすべきではないでしょうか。

確かにアメリカによって軍事的な安全保障は拡大している。では、本当に文民的な安全保障は充実してきたのでしょうか。朝鮮半島での南北の話し合いについて、アメリカは本当に公平、公正に進めているんでしょうか。一方を「悪の枢軸」と名付けて、本当に両国対等な話し合いを促そうという気持ちがあるんでしょうか。

日本にとっては、同じ近隣の小国である韓国、北朝鮮との対話を、できるだけアメリカの影響力を抜いて進めるということも、アメリカに対して対等に渡り合うための「カード」になりうると思います。そんなことできるのかと思う人も多いと思いますが、それはアメリカがその発想を許していないからだと思っています。本当は、可能性はゼロではないはずです。

政治家の方も、本当に自国民を守ることを考えるなら、自国民の犠牲を最小限に抑えようとする強い意志を持ってほしいと思います。たとえ見栄えが悪くても、大国から非難されても、資源も領土も少ない小さい国には、小さい国なりの処世術があるはずです。こんな時代だからこそ、自国民が無益な争いに巻き込まれないように全力を尽くしてほしいと思います。

それが、第二次世界大戦で亡くなった一般の人々と、その子孫の願いではないでしょうか。

在留資格取消しの実施件数

在留資格取消し制度の実施件数が、国会の質問主意書への回答として出てきています。

神本美恵子参議院議員提出の質問主意書への回答(平成27年7月28日付、内閣参質189第207号)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/189/meisai/m189207.htm

【在留資格取消しの実施件数】
▼留学、就労等の在留資格を持つ者で3か月以上当該活動を行わない者を対象に行う取消し(入管法22条の4第1項6号)
総数156件(平成24年〜26年の3年間の合計)
多い在留資格順:「留学」85件、「家族滞在」30件、「人文知識・国際業務」18件、「技能実習第2号ロ」8件、「技能」4件、「技術」「公用」各3件、「企業内転勤」「技能実習第1号ロ」各2件、「投資・経営」1件

(解説)
このデータから推測できるのは、取り消し制度は退学・卒業後の留学生、別居・離婚後の家族滞在の者、退職後の会社員、逃亡した技能実習生などに適用されているということです。ただ、3か月過ぎたら全員が調査を受けているという訳ではないので、何かの理由で入管から動いて取り消しに至ったのだろうと思います。


▼日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の在留資格を持つ者で6カ月以上当該活動を行わないものを対象に行う取消し(入管法22条の4第1項7号)
総数50件(平成25〜26年の2年間の合計)
在留期間別内訳:「3年」43件、「1年」7件
性別内訳:男性20件、女性30件
6カ月以上当該活動を行わないことに正当な理由があると認められた例:DVを受けて別居していた場合

(解説)
この在留資格者は制限なく就労できるため、「偽装在留」を疑われることが多いです。3年の在留期間を持つ者の摘発が圧倒的に多いことから、在留期間3年の者は要マークされているのか、それとも6カ月で取り消しにできるとはいっても実際はさらに長期的に様子を見て摘発しているのかもしれません。入管は6カ月過ぎたら全員を調査しているという訳ではないので、何か疑いがあって積極的に調べた事案が取り消しにつながっているのだと思います。

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