links

categories

archives

無国籍って何だろう〜陳さんの講演から

  先日、NPO法人無国籍ネットワークの代表理事をしている陳天璽さんの講演を聞いてきました。

 無国籍者というと放浪する亡命者のようなイメージがありますが、実際には日本で生まれてずっと普通に暮らし続けているのに、母国から各種証明書が発行されず無国籍になった人や、母国を国家として認めてもらえなくなり無国籍扱いされている人や、日本人の両親から生まれてきたのに、法律上の問題で出生届を受け付けてもらえず無国籍になった人などがいます。

 陳さん自身も、台湾という国が日本から認められなくなったために「無国籍者」として育ったそうです(今は日本に帰化されているそうです)。なんだか、自分は何もしてないのに国家レベルの問題や対立に巻き込まれてしまった個人、という印象です。

   ■   □

 陳さんのお話で印象的だったのは、日本の政府や自治体が「無国籍」の存在をなかなか認定せず、市町村窓口の「機転」によってどこかの国籍があるように外国人登録証(今は在留カード)などへ記載するために、かえって無国籍者の問題点もおざなりにされている、というものでした。

 小さな問題が噴出したときに、窓口の「裁量」でうまく処理してもらえると、とりあえずの問題は解消されます。たとえば出生届でとりあえずA国籍と書いて受理されれば、外国人として登録もできて、さまざまな子供の手当てや優遇措置も受けられる。学校も入れてもらえる。こうして自治体レベルでは「もう問題はない」とみなされてしまうようです。

 結果として、人生にとって大切な就職、帰化、結婚、海外出国などの場面で、裁量では処理しきれないような戸籍上、国籍上の処理の問題が出てやっと「無国籍(または国と認めていない地域の人)ではこの手続きはできません」と言われ、やはり行政上の救済策もなく、個人は「自分の問題」としてその結果を受け取らなければならない、というのが実情なのだそうです。

 日本では、離婚と再婚の微妙な時期に生まれた子供が、法律上の問題で「無戸籍」とされる事例があります(詳しくは無戸籍者のウィキぺディアへ)が、これも実際は無国籍なのに、自治体は機転を利かせて職権で住民票を作成したりしています。便宜を図ってもらえるのは良いことかもしれませんが、この子の本当の問題は住民票を作るくらいでは解決しないんだ、という点では責任の先送りに過ぎず、まさに無国籍者の問題だろうと思います。

 陳さんは、「日本政府によって無国籍扱いされている人も、一時的な措置として親の国籍と同じ国籍や、国として認めていない地域名を書かれたりするので、実際には気づいていない人が多い」と言います。気付いていないから、その問題を人権の問題としてとらえる意識も生まれにくいのかもしれません。2012年7月から新しく発行された在留カードでは「台湾」という国籍記載が認められましたが、これも政府にとっては「無国籍」と書くことを避けるための苦肉の策なのかもしれません。

   □   ■

 無国籍者や無国籍扱いされる人たちは、少し国家レベルの事情が悪くなれば「難民」と同じレベルで扱われてしまう可能性すらあります。日本人でもなく、他国の人でもない、とみなされるのですから。そう考えると、無国籍者の人権と行政の対策について、今のうちにもっと真剣に考えなければいけないのかな、と感じています。

 付け加えておくと、無国籍者の中には、もともと親や祖父母が難民状態になって母国から逃れてきたという方も多くいるそうです。

 あと、陳さんの昔の講演内容を紹介しているサイトがあったので、載せておきます。

朝鮮学校の無償化を外す省令へのパブコメ(1/26まで)

  政府の高校無償化の対象から朝鮮学校を外すという案について、政府は省令改正によって法律的に完全に対象外とすることを計画し、現在その改正省令案に対するパブリックコメントを募集しています。期限は1月26日までです。
Japanese government is asking for a public comment about amended ministerial order bill until January 26th.The amendment is planned to exclude North Korean School in Japan from high school tuition-free project.

改正の理由について政府は、朝鮮学校が厳密に学校教育法1条に認定する学校ではないということや、学校組織が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の下部組織とされる朝鮮総連と密接に関係していることを挙げています。
The government says that they do this measure because North Korean high schools do not exactly meet the standard of public schools in accordance with article one of School Education Act, and also because North Korean Schools have close connection with General Association of Korean residents in Japan which is considered as a North Korea's subsidiary organization.

同学校の生徒のほとんどは、第二次世界大戦中やその前に日本へ移住した朝鮮半島の人々の第3、第4世代です。朝鮮半島は戦時中は日本に占領され、朝鮮半島の人々は日本国民として公式に登録されていました。移住していた朝鮮半島の人々は大戦後に日本国民の地位を離脱させられ、多くがそのまま日本へ暮らし続けています。
Most of students in the schools are the third generation or forth generation Koreans in Japan since they moved to Japan during and before World War II. Korea was dominated by Japan and Koreans were officially registered as Japanese citizens at the war time.
After WW II, immigrated Koreans were defected from Japanese citizenship and many of them have been living in Japan.

同校は朝鮮文化と教育を維持したいと願う在日朝鮮人によって設立されました。北朝鮮と朝鮮総連はこれらの活動を支援し続けているため、日本政府は学校の本質が純粋な教育だけでなく、政治的な目的もあると考えています。
 The schools were built by such Koreans who want to keep Korean culture and education. Since North Korea and General Association of Korean residents have been supporting those movement, Japanese government is considering that the principle of the school is not only pure education but also political purpose. 

一方で、この学校は朝鮮民族の子孫が根強い差別の存在する日本において民族的なアイデンティティーを培うために貢献してきました。多くの韓国籍の子供も民族アイデンティティーを保つため同学校へ通っています。国連は少数民族教育の役割を重視し、朝鮮学校への差別的な扱いがないよう日本に勧告をしてきました。
On the other hand, the schools have been contributing for Korean offsprings to be fostered their racial identity in Japanese societies where strong discrimination exists. Many South Korean students also go to the schools to keep Korean identity. United Nations values a role of minority education and has advised that Japanese government should not discriminate Korean schools. 

日本人の中には拉致問題や北朝鮮の軍事強化の動きに強い否定的な感情を持っている人もいるので、北朝鮮系の組織へ資金を投入することに関して日本人の十分な同意が得られない、とも政府は話しています。
Japanese government also says that they cannot get enough consensus of Japanese to put money into North Korean organizations since some Japanese have strong negative feelings against North Korea because of such issues as kidnapping and military strengthening.

私は、この問題について朝鮮総連と日本政府が交渉や会議を持つ機会があったのかどうか分かりませんが、私たちに十分な情報がないままこの修正案が出てきたということは事実です。
I don't know if General Association of Korean residents and Japanese government had a chance of discussion or meeting about this issue, but it is the fact that this amendment came up without enough information for us. 
     
詳しい政府の見解は、こちらの記者会見で見られます。For further info about government's comment:

パブリックコメントを出したい方はこちら。
For public comment:
 
【補足】
 パブリックコメント募集の中で書かれている制度変更の内容は、次の通りです。つまり、3つのカテゴリーにに当てはまる学校へ助成していたけれど、今後は朝鮮学校の属する3番目のカテゴリーを削除するという内容です。
1.現行制度の概要 
 
    高等学校等就学支援金制度(以下「就学支援金制度」という。)の対象となる外国人学校(各種学校であって、我が国に居住する外国人を専ら対象とするもの)は、現在、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則(平成22年文部科学省令第13号)第1条第1項第2号において、次の3つの類型を定めている。 
 
(イ)大使館を通じて日本の高等学校の課程に相当する課程であることが確認できるもの(民族系外国人学校) 
 
(ロ)国際的に実績のある学校評価団体の認証を受けていることが確認できるもの(インターナショナル・スクール) 
 
(ハ)イ、ロのほか、文部科学大臣が定めるところにより、高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして、文部科学大臣が指定したもの 
 
2.改正の概要 
 
上記のうち、(ハ)の規定を削除し、就学支援金制度の対象となる外国人学校を(イ)及び(ロ)の類型に限ることとする。 
 
※現時点で、(ハ)の規定に基づく指定を受けている外国人学校については、当分の間、就学支援金制度の対象とする旨の経過措置を設ける。 
 
3.施行日 
公布の日から施行 

あけましておめでとうございます



  新年あけましておめでとうございます!

まつだ国際法務オフィスは今年で丸6年を迎えます。みなさまに支えられてここまでこられたことに深く感謝しております。

本年も力の限り、みなさまのお役に立てるよう努力しますので、どうかよろしくお願いいたします。

実は去年10月から調停委員の仕事をはじめたので、これからもっと相続や離婚の法律の勉強を深めていきたい、というのが今年の第一目標です。

第二の目標は、国際身分関係やビザ関係の実務をおさらいして、もっと難しい案件も引き受けられるように勉強したいと思っています。

勉強ばかりですね。まあ、そういう職業ですから(笑)。

みなさまの今年一年のご多幸をお祈りしています。

Happy new year!

It has been six years since my office was started in 2007. I appreciate that I was able to continue my business with your great help. I would like to keep making an effort to support you.

My first resolution for this year is to study hard about inheritance and divorce laws because I became a mediator of a local court last October.

The second resolution is to challenge more complicated cases in international family status and visas by learning the procedures further.

I hope that this year may be full of happiness for all of you! 

| 1/1PAGES |