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300日規定:無戸籍児を条件付きで住民票記載へ

 特に外国人の問題ではありませんが……。

【予習的に、離婚後300日規定について】
 離婚後300日以内に、前夫とは違う男性の子を出産した場合、子供は前夫の子と推定され、その子は前夫の子として戸籍に記載されます。前夫の子でないことを証明するには裁判所の手続き上、前夫と接触しないといけません。前夫と接触できない、協力が得られない場合は証明できません。そのまま子供が前夫の籍に入ることを避けるには、子供は無戸籍となるしかありませんでした。 

 ところが、そうした無戸籍の女性が大人になり、事実婚の日本人男性との子供を産むことになりました(無戸籍者は婚姻届を出しても受理されないため、事実婚なのです)。このままでは子供も無戸籍になる、という事態になったとき、はじめて自治体が無戸籍者と日本人の婚姻届を受理し、子供を父親の戸籍に記載する、という措置を取り、とりあえず「無戸籍二世」を出さずに済むようになりました。出生届が受理されたのは今年6月11日の話です。

 さらに、300日規定による無戸籍者は、実父である日本人男性を相手に認知調停を行えば、認知後に実父の戸籍に入ることができる、という解決方法を裁判所が提示しました。(予習終わり)

   ■

 6月27日付産経新聞・読売新聞などによると、総務省は同日、300日規定で無戸籍となっている子供らについて、市町村長の判断で住民票に記載できるとして、その判断基準となる3つの要件を発表しました。来月初めにも全国の市町村に通知するそうです。

 無戸籍の子供が住民票に記載できるようになるためには、次の3要件のすべてを満たしていることが求められます。

(1)出生証明書などにより、日本国籍を有することが明らか
(2)民法規定により前夫の子とみなされ、出生届を提出できない
(3)現在の夫が認知するか、前夫との親子関係がないことを確認する調停手続きなど、戸籍記載のための手続きを進めている


 家庭内暴力などで、夫が離婚に応じず、事実上の婚姻関係にある男性との間にできた子供についても、この基準は適用される見通しだということです。

 報道によれば、無戸籍児が住民票に記載されると、乳幼児健診や就学通知が届くようになり、自動車運転免許も取得できるようになるそうです。

   ■

 日本人でさえ、こんな扱いを受ける人がいるとは…。法律は人間がつくったものだから、よく穴(法律にあてはめられない事例)が出てきます。この「法の穴」から落ちる人がいるとき、「穴のある法律でも守らないといけないから、諦めて穴に落ちてください」というのが法務行政の窓口の対応です。法律上は間違っていないので、胸を張ってそういう職員が多い、という印象です(あ、でも地方自治体では、独自の裁量で補っている例もたくさんあります)。

 法律の不備に対するメンテナンスって、だれの責任で行うんでしょうか。法務省の中でそういうフィードバックと修正のプロセスをつくるべきではないの?そして修正過程をある程度公開するべきではないの? そういう責任がないから、行政職員も問題を放置できるのではないかと思うのですが、みなさんはどう思いますか?

 今回の問題では行政が特別な措置を講じたではないか、という意見もあるかもしれません。でも、法の穴に落ちた人たちが集まり、運動を起こし、事前に法律家やメディアを巻き込んで社会から注目されるよう仕向けていなければ、こんな大変革は起きなかったと思います。

 あー、でも…。やっぱり今回の措置はありがたいです。超法規的措置、ありがとう、総務省!

多文化共生を進めたいNPOの方々へ〜研修のお知らせ

FMwaiwai

 滋賀県で合計10日間あった「多文化共生マネージャー養成」研修が終わりました。(写真は視察先のラジオ局です)

 多文化共生施策を地方で行う際の課題調査、計画立案方法を実習しました。一言で言うとつまらなそうですが、最後まで読んでください(笑)。

【研修の表テーマ】
 自治体は、最近まで外国籍の人を住民サービスの対象として明確に認識はしていませんでした。それが最近、外国人の多い都市を中心に「外国籍でも税金を納めているし、人権もある。住民サービスを受ける対象であると認めて施策を行わなければいけない」という意見が優勢になってきています。

 すべての自治体がこれを「外国籍住民の権利」と言いきっているわけではありません。ここに不安定さが残るものの、外国籍の人を「住民」と認め、住みやすい街づくりのために税金を使っていこう、という方向性があります。
(ちなみに岡山市は今回の多文化共生プラン案で、「権利」と明記しています)

 ですが、これまで「見えない存在」「データからこぼれる存在」であった外国籍の人たちの実態は把握できません。問題が見えない状態で、どうやったら効果が上がるのか。言葉、文化の問題を解決する専門家をあまり持たない自治体が、どうやってアプローチすればいいのか。自治体の人たちは手探りで進んでいるのです。

 そこで、研修では「資金と施策実行力を持つ自治体」と「すでに外国人への公益的サービスを担っている草の根NPO・NGO」が手を組んで、効果的な施策をつくり実行する、という手法を教えています。

【研修の裏テーマ】
 NPO・NGOと自治体職員。この二種類の人たちはすでに、活動する上での「文化」が違います。

NPO・NGO=収入不安定、好きな分野だけ選んで活動、活動の社会性・公正さを見極めにくい、個人プレーもあり、柔軟な対応可能(団体によって差がありますが、とりあえずこんな感じで)

自治体=収入安定(税金)、受益者への公平なサービス(または少数者切り捨て。局部的にサービスしにくい)、活動に社会性・公正さがある、責任明確(外部チェックが厳しい)、組織の論理で動く(個人プレーできない)、柔軟に対応しにくい

 こんな二種類の人たちが一緒に多文化共生施策を行うとき、まず取りかかるべきなのは、このNPO・NGOと自治体の「二文化共生」です。

 10日間の研修で、この「二文化」の人が同じテーブルにつき、冷静でかつ情熱を持って同じ問題に取り組めるようになるのか……。これは私も、とても新鮮な体験でした。

 NPOとして参加した私は、まさに「自治体の人とどう対話し、提案していけばいいのか」を表と裏から(笑)、学ばせてもらいました。表だけを教えてくれる所はあるでしょうが、裏を教えてくれる所はきっと日本でここだけでしょう。あ、裏は賄賂(わいろ)じゃありません(笑)。

   □

 この業界(?)では名だたる行政関係者、NPO・NGOリーダーの方々が10日間でざっと15人くらい、講師やゲストとしてお話してくださいました。多文化共生のために険しい道を切り開いた、不屈の人です。分かりやすく言うと、濃い人ばかりです(笑)。

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 研修は「自治体国際化協会(CLAIR)」と「全国市町村国際文化研修所(JIAM)」が共催しています。自治体や外郭団体、そして行政と協働事業をしているNPO・NGOが参加できます(推薦状必要)。交通費が全額補助されるので、参加者は10日間の宿泊、食費として計3万円程度を負担するのみ。敷居の低さが魅力です。今年度はもう1回、研修のチャンスがあります。興味のある方は、こちらから応募してください。
http://www.jiam.jp/workshop/seminar/20/tr08012.html

平成20年度 多文化共生マネージャー養成コース第2回

期日
10日間(平成20年11月17日(月)〜21日(金)、平成21年1月26日(月)〜30日(金))

場所 
全国市町村国際文化研修所(滋賀県大津市唐崎2丁目13番1号)

募集人員
25名

締切
9月12日

内容
【前期】外国人住民に関する諸制度の理解(制度編)

* 多文化共生に関する施策の概要
* 外国人住民と法制度(出入国管理政策、自治体施策の変遷、医療・保健・福祉分野、生活相談と法、外国人児童・生徒の教育など)
* 多文化共生施策推進への期待
* 演習(個別課題解決)

【後期】多文化共生施策推進体制づくり(実践編)

* 自治体における事例紹介(指針・基本計画、NPOとの連携など)
* 実地研修(外国人コミュニティや教育現場の視察、意見交換)
* 演習(多文化共生のための3か年計画づくり)

私が参加した時の講師陣(敬称略)

田村太郎(NPO法人多文化共生センター大阪代表理事)
渡邉浩之(総務省自治行政局国際室課長補佐)
井口泰(関西学院大学経済学部教授)
太田晴雄(帝塚山大学人文科学部教授)
北村広美(NPO法人多文化センターひょうご代表)
村松紀子(財団法人兵庫県国際交流協会外国人県民インフォメーションセンタースペイン語相談員)
アンジェロ・イシ(武蔵大学社会学部准教授)
榎井縁(財団法人とよなか国際交流協会事業課長)
中村浩一(足立区区民部区民課多文化共生係長)
金 迅野(川崎市ふれあい館職員)
吉富志津代(NPO法人多言語センターFACIL理事長)
伊井直明(兵庫県子ども多文化共生センター主任指導主事)
松原マリナ(NPO法人関西ブラジル人コミュニティ理事長)
森木和美(NGO神戸外国人救援ネット)
山村昭(神戸市国際交流課主査)
清瀬聡(兵庫県国際交流協会多文化共生課課長補佐)


 修了者には、こんな認定書がもらえます。香山充弘理事長は、1992年から2年間ほど岡山県副知事を務めていらっしゃったそうです。
certificate

研修のお知らせ

パラソル

 23日から27日まで、またもや多文化共生研修です。ご迷惑をおかけしますが、今年はこれで終わりです(仕事は終わりません)。

 電話は午後5時以降に対応できます。みなさんもお元気で一週間をお過ごしください。

 

無戸籍児の入籍に認知調停を推進

 NHKのニュースによると、民法の300日規定が原因で戸籍がない子どもについて、最高裁判所は、実の父親の子として戸籍を得る手段として、「認知調停」という方法が活用できることを全国の家庭裁判所に周知しました。

 詳しくは、裁判所のホームページを参照してください。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_07_18.html

認知調停

1 概要

 婚姻関係にない父と母の間に出生した子を父が認知しない場合には,子などから父を相手とする家庭裁判所の調停手続を利用することができます。

 この調停において,当事者双方の間で,子どもが父の子であるという合意ができ,家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で,その合意が正当であると認めれば,合意に従った審判がなされます。

 認知がされると,出生のときにさかのぼって法律上の親子関係が生じることになります。

 なお,婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子どもは,婚姻中の夫婦間にできた子(嫡出子)と推定され,仮に他の男性との間に生まれた子どもであっても出生届を提出すると夫婦の子どもとして戸籍に入籍することになります。しかし,婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子どもであっても,夫が長期の海外出張,受刑,別居等で子の母との性的交渉がなかった場合など,妻が夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合には,夫の子であるとの推定を受けないことになるので,そのような場合には,前の夫を相手として親子関係不存在確認の調停を申し立てる方法や,子から実父を相手とする認知請求の調停を申し立てる方法もあります。

※ 婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱いについて

 婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子のうち,医師の作成した「懐胎時期に関する証明書」が添付され,当該証明書の記載から,推定される懐胎の時期の最も早い日が婚姻の解消又は取消し後である場合には,前の夫を父としない出生の届出をすることができることとされています。詳細については,最寄りの戸籍役場にお問い合わせください。


2 申立人

* 子
* 子の直系卑属
* 子又は子の直系卑属の法定代理人

3 申立先

 相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
 
4 申立てに必要な費用

* 収入印紙1200円
* 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)
※ 後日,鑑定料が必要になる場合があります。

5 申立てに必要な書類

* 申立書1通
* 申立人,相手方,子の戸籍謄本
※ 事案によっては,このほかの資料の提出をお願いすることがあります。

6 その他

 親子の関係があることを明らかにするために,鑑定を行う場合もあります。
 この場合,原則として申立人がこの鑑定に要する費用を負担することになります。

岡山市・多文化共生社会推進プランの意見募集

 岡山市が、多文化共生社会推進プラン案を作成し、パブリックコメントを6月30日まで募集しています。

 ネット上から意見を送れます。詳しくはこちら。

 岡山市には79カ国、9,606人(2008年3月現在)の外国人市民が生活しているそうです。

 このプランのすばらしいところは、プランでありながら内容が詳細にわたっていること、外国人住民としての義務と権利(特に市民サービスを受ける権利)を明確に書いていることなどです。

 問題点は、このプランを進めるにあたり、国際課に責任が集中しすぎではないかということです。上手に分業できればいいのですが。局を横断するような全体事業なのですから、もっと上位部署がかかわっていった方がよいような気もします。

 岡山市の組織図はこちら。


研修生制度の審査が厳しくなっています

 研修生制度に対する入管の審査は厳しくなっています。

*各企業の非実務研修場所の写真を提出させるようになりました。(計画が存在しても、実際は非実務研修をしていない企業があったため)

*事業協同組合には研修生受け入れ事業以外の事業実績を提出させるようになりました。(事業協同組合は研修生事業以外のことを主たる事業としなければならないが、他のことはほとんどやっていない企業があったため)

*研修責任者の経歴書(研修事業の経験含む)を提出させるようになりました。(経歴詐称や実態のない責任者である例があったため)

 こうした追加書類が増えています。

許可率99%

外国籍の人の離婚届不受理申出が認められ、
無戸籍の人の子供(無戸籍)の戸籍記載が認められ、
大きいニュースがたくさんありました。

 私の仕事上も、長い申請手続きが終わり、いちまつのさびしさが残る……と感傷にひたっていたのもつかの間、次の相談がやってきています。

 許可もあれば、不許可もあります。「許可の実績は何%ですか」と聞かれることがありますが、私の場合、許可率100%というのはないです。「ダメ元でも申請してほしい」と言う方がいると、申請しているからです。

 でもそのときには、やはりできる限りの説明と同意(インフォームドコンセント)が不可欠だなと実感しています。不許可の衝撃というのは、本当に大きいからです。申請人だけでなく、私自身にとっても。

 
   □

 日本の帰化申請の許可率は何%かと思って、法務省のサイトで調べてみました。


 すると、何と平成13年は許可率113%(申請数13442件、許可数15291件)! なんちゃって、審査には1年以上かかるものもあるため、単年度の数では許可率が分からないんですよね。

 申請数に対する不許可の割合を計算すると、どの年も1%程度です。「帰化申請の許可率は99%」という文章をたまに見ますが、根拠はここにあるのでしょうか。   

 「許可率99%」はどうやって生まれるかというと、法務局の方々が、許可の可能性のない人たちに対して「出しても不許可ですよ」と窓口で諭しているからです。つまり不許可になるような申請が出ないよう、事前に指導しているのです。

 基準を100%把握していれば、こういうふうに諭したりできるんでしょうね。でも非公開の審査基準を手探りで確かめていく入管の申請業務では、「絶対許可になる」「絶対不許可だ」なんて、言えないような気がします。結果は神のみぞ知る、というか入管のみぞ知る、いや、入管職員すら知らなかったりしますから(笑)。

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