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中国の渉外民事適用法

  JETROが2010年11月18日に、中華人民共和国渉外民事関係法律適用法を公表しています。こちらのサイトでは、末尾に法案の中国語原文と日本語訳を掲載しています。

【法令名称】
    中華人民共和国渉外民事関係法律適用法
【発布機関】
    全国人民代表大会常務委員会
【発布番号】
    主席令第三十六号
【発布日】
    2010-10-28
【施行日】
    2011-04-01
【法令紹介】
     

主旨と目的

    * 渉外民事関係の法律適用を明確にし、渉外民事紛争を適切に解決し、当事者の適法的権益を擁護する(第一条)。

内容のまとめ
渉外民事関係に適用される法律は、本法に基づき確定する。その他法律に渉外民事関係法律適用について特段の規定がある場合、その規定に従う。本法及びその他法律に渉外民事関係の法律適用について規定がない場合、当該渉外民事関係と最も密接に関係する法律を適用する(第二条)。

本法の構造(即ち、目次)は下記の通りである。
第一章     一般規定
第二章     民事主体
民事権利能力、民事行為能力、人格権、代理、信託等の内容を含む。
第三章     婚姻家庭
第四章     相続
第五章     物権
不動産の物権、動産物権、有価証券、権利質等の内容を含む。
第六章     債権
契約の準拠法、消費者契約、労働契約、不法行為責任、製造物責任、人格権の侵害、不当利得、事務管理等の内容を含む。
第七章     知的財産権
知的財産権の帰属及び内容、譲渡及び使用許諾、不法行為責任等の内容を含む。
第八章     附則

本法の一部内容は下記の通りである。
民事主体     

    * 法人及びその分支機構の民事権利能力、民事行為能力、組織機構、株主の権利義務等の事項は、登記地の法律を適用する。法人の主な事業地と登記地が異なる場合、主な事業地の法律を適用できる(第十四条)。
    * 代理は代理行為地の法律を適用するが、被代理人と代理人の民事関係は、代理関係発生地の法律を適用する(第十六条)。

物権     

    * 不動産の物権は、不動産所在地の法律を適用する(第三十六条)。
    * 動産物権は、当事者が準拠法を選択しなかった場合、法的事実が発生した時の動産所在地の法律を適用する(第三十七条)。
    * 当事者は、協議により輸送中の動産物権に変更が生じるときの準拠法を選択できる。当事者が準拠法を選択しなかった場合、仕向地の法律を適用する(第三十八条)。
    * 権利質は、質権設定地の法律を適用する(第四十条)。

債権     契約の準拠法     

    * 当事者は協議により契約の準拠法を選択できる(第四十一条)。
    * 当事者が選択しなかった場合、義務履行が当該契約の特徴を最も反映できる一方当事者の経常的居所地の法律又はその他当該契約と最も密接に関係する法律を適用する。(例えば、消費者の経常的居所地、労働者の勤務地、労務派遣元所在地)(第四十一条、第四十二条、第四十三条)。

不法行為責任(一般)     

    * 不法行為責任は、不法行為地の法律を適用する。但し当事者に共通の経常的居所地がある場合、共通の経常的居所地の法律を適用する(第四十四条)。

不法行為責任(製造物責任)     

    * 被害者の経常的居所地の法律を適用する(第四十五条)。
    * 被害者が加害者の主な事業地の法律、損害発生地の法律を選択した場合、又は加害者が被害者の経常的居所地にて係る経営活動を行っていない場合、加害者の主な事業地の法律又は損害発生地の法律を適用する(第四十五条)。

不法行為責任(その他)     

    * インターネット又はその他の方式により氏名権、肖像権、名誉権、プライバシー権等の人格権を侵害した場合、被害者の経常的居所地の法律を適用する(第四十六条)。

日系企業への影響
渉外民事関係とは、民事法律関係の主体、客体及び法的事実等の要素に少なくとも一つの外国要素を有する関係を指す。主に下記の通りである。

    * 当事者の一方又は双方が外国人、無国籍人、外国企業及び組織である。
    * 民事法律関係の目的物等が中国国外にある。
    * 民事法律関係の発生、変更又は消滅の法的事実が中国国外で生じた。

備考:ここでいう中国国外には、中国香港特別行政区、中国マカオ特別行政区及び中国台湾地区を含まない。

グローバル化、改革開放、民間の国際交流が日増しに頻繁になってきており、また、渉外民商事事件も日増しに多くなってきていることから、中国全国の裁判所による渉外民商事事件の受理数は年間、1万件余りに達している。本法は中国の実情から、渉外民事紛争が比較的多く、各方面の意見も比較的一致する法律適用問題を重点的に解決するものであり、非常に重要である。

日系企業は日常経営においても通常、数多くの渉外要素(例えば、外国株主、外国籍従業員、国際貿易及び支払い、海外上場、インターネット上の権利侵害、外国の親会社との間の特許許諾等)が存在し、このため、数多くの渉外民事関係が発生し、法律適用問題を明確にする必要がある。従って、本法は日系企業にとっても非常に重要であると言える。

このほか、法律制定において、本法は中国で長年に渡って有効な規定(「民法通則」等のその他法律規定に散在する)及びやり方を消化し、同時に、国際的に通用するやり方及び新たな発展成果を体現し、中国渉外民事関係法律適用の体系を一層改善している。


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