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外国人住民票と在留カード、あと1年で施行


  さて、2011年7月1日です。ちょうど1年後(2012年7月1日)には外国人にとって大きな改正法の施行が行われます。

 ひとつは改正入管法。これまでの外国人登録法を廃止して、入管法に組み込んでしまい、入管が外国人を一括管理するという大改正です。もうひとつは、改正住民基本台帳法。これまで日本人しか登録できなかった住民基本台帳(住民票)に外国人を組み込んでしまい、年金や保険のお金をしっかり徴収し、サービスも提供しましょうという大改正です。

 いまだに入管自身は改正入管法の具体的な実施内容を公開していません。一方、オープンに外国人住民票の研究会を重ねている総務省。総務省の研究会を通じて、入管の資料が徐々に出てきています。

 この一連の動きを見ていて最近思ったこと。入管は、自分のところへ集中する情報を、積極的に外へ出す気はないんだな、ということ。本人への情報提供も含めて。煩雑な個人情報開示請求などの手続きを経なければ開示しないようにするのではないかな、と思います。

 今までは外国人登録原票記載事項証明書があれば、本人が自分の履歴を手軽に入手できましたが、これからは住民票という現在の証明事項しか手軽に入手できなくなるのではないでしょうか(日本人は戸籍があるから生涯にわたる身分の履歴事項も手軽に入手できますが、外国人には戸籍がありません)。

 外国人の身分の履歴事項は、どうやったら入手できるんでしょうか。あと1年しかないのだから、入管は早く教えてほしいものです。

   ■   □
以下は、これまでの総務省実務研究会で判明している住民基本台帳と在留カードの運用の主なポイントです。

外国人住民に係る住民基本台帳制度への移行等に関する実務研究会
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/daityo_ikou/index.html

■在留カード発行、住民登録の対象は3カ月以上滞在予定の中長期在留者。短期滞在、非正規滞在者等は対象外。
■在留カードの氏名表記はアルファベット。漢字を併記する場合は簡体字は不可。正字に直すのは可。
■入国時に空港や港で在留カードを発行。それから14日以内に市町村で居住地の登録。登録しないままだと在留資格取り消しの対象となる。
■通称名は本名のあとにかっこ書き。住民票は通称名のみで閲覧・写しの請求はできない。
■アルファベット名の人は、住民票の備考欄にカタカナ表記をしなければ印鑑登録ができない。
■施行日の前の一定期日(基準日と言います。期日は未定)に仮住民票を作成し、本人に通知。修正申告を受けてから施行日に本格運用を始める。

外国人住民票制度の研究会資料(2011年2月28日)

 
外国人住民に係る住民基本台帳制度への移行等に関する実務研究会(第11回)

日時

平成23年2月28日(月)15:30〜17:30
場所

総務省11階会議室
議事次第

   1. 開会
   2. 通称名等の取扱いについて
   3. 外国人住民に係る印鑑登録証明事務の取扱いについて
   4. 仮住民票の記載事項について
   5. 住民票の氏名の表記について
   6. 在留カード・特別永住者証明書の事前交付申請等に係る市町村の事務について
   7. 特別永住者証明書に係る市町村の事務について
   8. 法務省と市町村とのシステム連携について
   9. 閉会

資料はサイトからダウンロードできます。

住民票制度の外国人への適用に関する説明会(10月5日)

 2012年7月ごろから、外国人へも住民票制度が適用されるようになり、同時に入管が情報を一元管理する「在留カード」の発行も始まります(現在の外国人登録カード、外国人登録制度は廃止)。

★外国人への住民票制度スタートのスケジュール(市町村)
基準日(平成24年を予定?) 仮住民票の作成
施行日(平成24年7月ごろ)仮住民票→住民票へ移行
適用日(?)住民基本カードの交付、本人確認情報の登録

その具体的な内容が、自治体向けの説明会で明らかにされています。説明会の映像を見て、大切そうな部分を抜き書きしました。

 大切なポイントは
1)戸籍における高齢者不在事件を受けて、自治体では、住民票情報と税金や社会保険情報の相互連携を勧めている。つまり、住民票情報と税金、社会保険情報が連動することになり、外国人においては、さらに入管情報とも連動するようになる。

2)市町村の住民票情報と入管の在留資格情報はネットワークシステムによって常時共有され、タイムラグはなくなる。特に居住地、在留資格、在留期間に関する情報は確実に相互提供される。

 今後は、個人情報の安易な目的外使用が進まないよう、入管と自治体の間でどれほど情報共有に歯止めをかけられるかが課題となりそうですが、入管は在留カード情報に関する調査権を持っていますし、入管法違反の捜査権も持っています。入管と自治体の間に太い情報パイプができるということは、かなり怖いことかもしれません。

 それにしても、ややこしいですね。どうせ外国人にも住基カードを発行するなら(そして入管から情報をリアルタイムに提供してもらえるなら)、在留カードは必要なのかな…。

   ■   ■

外国人住民の住民登録業務に関する総務省・法務省の説明会と質疑応答
(都道府県と政令市向け 2010年10月5日開催)

配布資料PDF
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/35640.html


【映像1】施策の紹介第146回外国人住民に係る住民登録業務のあり方に関する調査研究(最終報告)解説(平成22年3月9日放映)
http://www3.stream.co.jp/www11/lascom/jichi/1010/100316-shisaku146.asx

★(移行措置)施行日までの一定期間、すでに在留中の人へ仮住民票を作成。外国人登録原票にすでに登録されていて、施行日もその住所にいると推定される人が対象。作成基準日を設け、外国人登録原票の情報等を元に作成し、本人に通知する。そのとき入管へも情報照会することを検討中。

★このとき、登録と実態の食い違いの是正を勧め、登録の適正な届出を呼び掛ける。


【映像2】外国人住民に係る住民基本台帳制度への移行に関する説明会(説明会)
(平成22年10月14日放映)
http://www3.stream.co.jp/www11/lascom/jichi/1010/gaikokujin_kihondaityou_ikou_1.asx

★総務省通知(平成22年8月31日付、総行住第36号)で、不在高齢者対策として、自治体内の関係部署間で連携強化・情報共有することを指示した。福祉部署は知っていたけど、住民票部門は知らなかったという事態があったため。

★住民票の事実が確認できず事件性がある場合には、速やかに捜査機関へ依頼することが重要。国政調査の資料も利用できるように調整している。外国人、日本人を問わず事実調査もしっかり行って住民票の正確な記載に努めてほしい。各自治体が通知の通り改善しているかどうか調査もする。

★外国人住民登録業務は、2012(平成24)年7月ごろから全国一斉に運用スタートする予定。対象外国人は適法な在留資格を持つ中長期(3か月以上)在留者。

★システム改修は大規模なものとなる。自治体から、法務省、社会保険関係の外部へもアクセスできるようにする予定で、困難が予想される。

★各自治体の英字、簡体字への対応は困難が予想される。

★転入、転出など届出が必要な手続きについて、外国人への周知も必要。多言語対応が必須になる。

★複数の国籍が混在する世帯も、日本国籍だけの世帯と同様に世帯単位でまとめた証明書を発行できる。

★外国人特有の住民票記載事項は、外国人住民となった日、国籍、在留資格、在留期間など。閲覧、開示については、日本人と共通の記載事項のみが対象。国籍、在留資格などは法務省がコード化することを検討中。

★外国人入国者は空港等で在留カードを交付されたあと、役所でカードを提示して住民票を作成してもらう。

★自治体は、住居地にかかる情報は地方入管へ通知する。在留資格に関する情報は入管から提供を受けて、自治体側で更新する。

★施行日には、仮住民票から住民票に移行される。

★基準日の案は、案1が平成23年度中、案2は平成24年度となっているが、政府案は案2が望ましいと考えている。

★住民票における氏名の表記(簡体字、繁体字、アルファベット)は在留カードの基準に従う。法務省方針によると、在留カードでは原則としてアルファベット表記することとしているが漢字併記も認める。漢字は簡体字でなく、日本の漢字(正字)で記載する。在留カードの変換ルールに基づいて変換する。

★外国人の生年月日は西暦表記する。

★住居地情報の変更にともなう在留カードの処理は、市町村役場が在留カードに記載(裏書きとICカードへの入力)することを予定している。(法務省から自治体への法定受託事務となる)

★法務省と自治体を結ぶ市区町村連携インターフェースが最低でも1日1回自動でアクセスし情報を共有。


【映像3】外国人住民に係る住民基本台帳制度への移行に関する説明会(質疑応答)
(平成22年10月14日放映)
http://www3.stream.co.jp/www11/lascom/jichi/1010/gaikokujin_kihondaityou_ikou_2.asx


★帰化すると住民票修正して対応するそうだが、日本人用住民票に変わったときの履歴の扱いは。→検討中


外国人住民票制度まとめサイト(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/zairyu.html

法改正Q&A(総務省ホームページより)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/qa.html


「住民基本台帳法施行令の一部を改正する政令案」及び「住民基本台帳法施行規則の一部を改正する省令案」に対する意見の募集について(2010年11月18日締め切り)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=145207725&Mode=0

法務省と市町村のシステム連携について(資料)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000084654.pdf


外国人住基業務の調査報告

「外国人住民に係る住民登録業務のあり方に関する調査研究」
最終報告が、総務省自治行政局市町村課外国人住民制度企画室から出されました。

こちらです。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000055361.pdf

 興味深い内容ですが、139ページ! クラクラ…。ゆっくり見る時間がありません(涙)。みなさん、私の代わりにぜひ読んでください。

外国人向けの住民票制度お知らせサイト

 住民基本台帳法の改正により、3年以内に外国人にも住民票がつくられることになりました。総務省が、お知らせサイトを作っています。

 詳しくはこちら

 納税管理とか、子どもの義務教育の通知とか、さまざまな行政サービスと管理を受けるようになります。

新たな在留資格制度についてのQ&Aサイト

 仕事で目の回るような日々が終わったと思ったら、今度は入管法改正プラス外国人台帳制度の新設で、目が回りそうなほどの情報が飛び交っています。とりあえず今日の情報です。

新たな在留資格制度についてのQ&Aサイト
http://www.repacp.org/aacp/index.html

外国人台帳制度案を人権団体が紹介

 物事を両面から見る、というのは何事においても大切なことです。

 2009年から本格的に国会で議論される、外国人台帳制度。このサイトでも何度か取り上げてきましたが、やっと物事の全容をつかむための資料がそろったようです。

 おさらいすると外国人台帳制度とは、現在は法務省入国管理局が一元管理している外国人の基本情報を、総務省の管理する日本人の住民票と同じようなシステムに移行して、もっと定住者に住民サービスと住民の義務を引き受けてもらおうという政策です。

 総務省側は「定住者に便利なサービスになりますよ」とPRするわけです。が、外国人取り締まりのために情報を利用してきた入管側は、この制度については黙して語らず、でした。

 実はこの制度の大きな問題点は、

(1)入管側が外国人の個人情報(納税情報まで)をかなり広範に収集できるようになること
(2)収集した情報をどう使うのかについて、全く議論されていないこと
(3)オーバーステイの外国人について、不可抗力でそうなった人も故意の人も、更新手続きを単に忘れただけの人も、一律に行政サービスから排除するような政策を取っていること

 なのですが、総務省の話し合いではせいぜい(3)に触れた程度です。(1)(2)は入管側の問題ですから、触れる必要がなかったんですね。

 そこで、黙して語らぬ入管の代わりに、外国人人権法連絡会が「新たな在留管理制度についてのQ&A」を公表しました。

 ぜひこの二つの報告書を読んでみてください。両方を読んで、やっと全容が分かってくるのではないかと思います。

総務省「外国人台帳制度に関する懇談会報告書」
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/081218_1.html

外国人人権法連絡会「新たな在留管理制度についてのQ&A」
http://www.repacp.org/aacp/QA-11.html
台帳制度と情報

外国人台帳制度懇談会第8回

 第8回の外国人台帳制度に関する懇談会資料が公開されました。運用開始までの準備期間を3年とすることが話し合われています。

第8回 配付資料
http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/zairyu_1/081016_1.html
第8回 議事概要
http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/zairyu_1/pdf/081016_2.pdf

管理か人権尊重か?外国人台帳制度

台帳制度シンポ
 先週からイベントや仕事が増えてきました。先週おもしろかったのは、来年にも国会で審議される「外国人台帳制度」をめぐる大阪でのシンポジウムでした。

 ここ数年の大きな動きとして、「いままで外国籍者の情報は入管が一元管理していたけれど、次第に他省庁による分散管理になってきている」という現象があります。

 私は当初、「入管(法務省)が他省庁と手分けして外国人管理を強化しようとしているんだろうか」と思っていたんですが、どうやらそうではないことが分かってきました。

 実情はどうも「外国人の情報を一元的に収集、管理したい入管」と「自分たちの業務に必要な外国人の情報を、自分たちで収集、管理したい他省庁」のせめぎ合いの末、他省庁が自分の領域に関する外国人情報の収集、管理の主導権を勝ち取りつつある、という感じです。

 現在は入管が、出入国と在留資格に関する情報を持っています。でも在留資格に関係のない結婚や離婚、転居、転職などの情報は、即時に把握できません。そして他省庁は2年前まで、外国人の情報を広く収集・管理することはありませんでした(外国人が少数だったからだと思います)。

 でも外国人が増えてくると、他省庁も外国人に関する情報が必要になってきました。

 まず最初に、厚生労働省が2007年10月から外国人雇用状況の届け出を義務化し、労働状況を把握できるようにしました。このとき法務省は「必要な時には厚生労働省から情報をもらうことができる」という取り決めをして、その情報をかろうじて利用できるようになりました。

 その次が総務省(自治体)です。日本人の住民票(住民基本台帳)制度と同じような制度を外国人にも新設して、住所変更や結婚などの世帯情報などの情報を管理しようと準備しているのです。さらに自治体は台帳をもとに、税金、保険、年金などの情報も持つようになります。私としては、入管がどれだけこういう情報にアクセスできるようになるのか、が最大の関心事です。

 各省庁で、外国人の情報がほしい理由はさまざまです。

厚生労働省「外国人の不正労働、不正雇用をなくしたい」
総務省(自治体)「きちんと課税し、同時に住民サービスも保証したい」
法務省(入管)「外国人を適正に管理、取締りしたい」

 日本人でいえば、いろんな個人情報は各省庁で分散管理されていて、その情報が犯罪捜査以外で警察へ集約されることはありません(と信じたい)。個人情報がすべて捜査機関へ集約されるというのは、独裁政権ではよくあるでしょうが、最も恐れるところです。

 外国人情報も、情報が無条件に入管や警察へ集約されることのないよう、個人情報の目的外使用について各省庁がきちんとルールを設けてほしいと思います。「テロ対策」などと言っては例外を設けたりするんじゃないかなーとか、余計な心配を募らせています。

 あと入管も、在留審査のときに目的外の情報を収集して審査に加味したりしないでほしいなーと思います。ただでさえ不透明な審査がより不透明になると困る、という仕事上の理由もありますが(笑)。

外国人台帳制度懇談会(第7回)

 第7回の外国人台帳制度に関する懇談会(9月22日)の資料が公表されています。

 注目点は、不法滞在者に対する行政サービスは原則として行わないと明言していることだと思います。

第7回 配付資料
http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/zairyu_1/080922_1.html
第7回 議事概要
http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/zairyu_1/pdf/080922_2.pdf


■これまでの外国人台帳制度に関する懇談会
http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/zairyu_1.html

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