links

categories

archives

偽装結婚って何ですか(偽装在留と取締法)

 私は国際結婚の手続きを多く扱うので、偽装結婚で逮捕された人の報道はいつも注意して見ています。

 普通の結婚と「(逮捕される)偽装結婚」の境界はどこにあるのか、政略結婚はなぜ逮捕されないのか、財産目当ての結婚はなぜ逮捕されないのか。私はまだ、はっきりとは分かっていません。

 そもそも何が「本当の結婚」なのか、定義は不明確です。夫婦の義務について民法752条で は「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」とあります。法律上、愛は必要な要件ではありません(笑)。この条文について具体的な基準はありませんし、守っていないからといって結婚が無効になることはありません。

   □   □

 事例を見てみると、偽装結婚は、そのものズバリの罪名があるわけではありません。政府の文書によると、こんな記述があります。

--------------------------------------------------
○刑法
a.公正証書原本不実記載、同行使(第157条、第158条)
外国人を日本国内で就労させるための偽装結婚については、公正証書原本不実記載、同行使の罪で検挙している。
(日本政府の市民的及び政治的権利に関する国際規約第40条1(b)に基づく第3回報告 II 規約の各条に対する逐条報告 第2章3.外国人の地位、権利)
--------------------------------------------------

 つまり、外国人の場合は、うその結婚なのに婚姻届を書いて出したことが「事実でない記載」であるとされ摘発されるのです。そのとき客観的に「うその結婚」だと言える証拠がなければ逮捕はできないでしょう。その証拠とは何でしょうか。

 報道を見ていると、「金銭の授受」があったことが明確な証拠のひとつとなるようだ、というのは分かりました。よく日本人が結婚紹介業者へ仲介料を払いますが、これは200万円でも300万円でも違法とはされません。外国人が(偽装結婚の仲介を依頼して)金を払う、あるいは日本人が外国人や仲介人から金を受け取る場合に証拠となるようです。

 あと、組織的に反復して行われていること。入管は結婚仲介者を注意深くチェックしています。

 さらに、結婚を偽装しているけど実際には別居し、就労しているという場合。単に結婚後働いている場合には見分けがつきませんが、例えば外国人だけ都市部へ行き働いているというのは極めてグレーであり、警察が動かなくても入管が入管法違反で捜査します。

 就労に限らず、何か他の犯罪のために偽装結婚が使われている場合には、「結婚自体が本来の目的ではなかった」とみなされる余地があります。

 以上の要因を複合的に見て、結婚の目的が「結婚以外の違法な行為のためである」と客観的に判断されたとき、逮捕に踏み切るようです。

   □   □

 こういう傾向から、入管が国際結婚した人の入国・在留審査をするとき慎重に審査するケースとは、次のような外国人になります。

・数か月単位で何度も短期ビザでの出入国を繰り返していた人(不法就労の疑いを持たれる場合あり)
・過去に入管違反歴のある人
・入管に怪しい人物として目をつけられている仲介業者が紹介した人
・入管に怪しい人物として目をつけられている人(行政書士など)が申請取次した人
・過去において不自然に在留資格やビザを変えている人
・最初に会ってからすぐ(数日などで)結婚した人
・大量に偽装結婚が発生している国(地域)出身の人(今はないけど、過去にはありました)

 日本人に関しては、次のような人が慎重に審査されます。

・結婚生活のための基盤が安定していない人(住む場所、収入、資産など)

 ほかにもいろいろありますが、あとはぜひ相談に来てください(^^;)。

 入管専門の行政書士は、こういう慎重に審査されるケースについて、最初からきちんと疑いがないということを証明する申請書を作ります。でも、黒を白にすることはできません(やりません、というべきか)。私ができることは、「グレーに見える白を、できるだけ白くすること」です。

   □   □

 あと、上で引用した国際人権規約に対する日本政府の報告書ですが、読むと外国人の人権についていろいろ法的な立場を説明してあり、勉強になりました。参考までに、下へ抜粋しておきます。

 外務省のサイトでも読めます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/index.html
 

★日本政府の市民的及び政治的権利に関する国際規約第40条1(b)に基づく第3回報告
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/pdfs/40_1b_3.pdf

II 規約の各条に対する逐条報告
第2章
3.外国人の地位、権利

外国人の権利については、基本的人権尊重及び国際協調主義を基本理念とする憲法の精神に照らし、参政権等性質上日本国民のみを対象としている権利を除き、基本的人権の享有は保障され、内国民待遇は確保されている。

○刑法
a.公正証書原本不実記載、同行使(第157条、第158条)

外国人を日本国内で就労させるための偽装結婚については、公正証書原本不実記載、同行使の罪で検挙している。

b.私文書偽造、同行使(第159条、第161条)及び公文書偽造、同行使(第155条、第158条)

外国人を日本国内で就労させるためのパスポートの偽造に関しては、私文書偽造、同行使罪で、在留資格変更のための国立大学等の入学許可証、在学証明書等の偽造に関しては、公文書偽造、同行使の罪で検挙している。

a.b.ともに、ブローカー等が関与している場合は、直接実行行為を行っていなくても、第60条(共同正犯)又は第61条(教唆犯)を適用して積極的に検挙している。


★市民的及び政治的権利に関する国際規約第40条1(b)に基づく第4回報告
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2c1_002.html
II 規約の各条に関する逐条報告
第2章外国人問題
(c)社会保障
 我が国の社会保障制度は、1981年に「難民の地位に関する条約」に加入したこともあり、我が国に適法に滞在する外国人については、基本的には内外人平等の原則に立って適用されることとしている。

    (i)公的医療保険、公的年金
   我が国において、一定の事業所で常用的雇用関係にある外国人については、我が国の国民同様、健康保険・厚生年金保険などの公的な職域医療保険・年金に加入することになる。また、それ以外の者であって我が国に住所を有すると認められる者については、国民健康保険・国民年金の適用対象となる。

    (ii)生活保護
   生活保護は、生活に困窮する日本国民に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する制度である。但し、永住者等については予算措置として法を準用し、日本国民と同様の要件の下で同様の給付が行われている。


★市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)
第40条
1 この規約の締約国は、(a)当該締約国についてこの規約が効力を生ずる時から一年以内に、(b)その後は委員会が要請するときに、この規約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を提出することを約束する。

在日フィリピン人の婚姻要件具備証明

*この情報は、駐日フィリピン大使館(東京)の情報(2010年1月現在)です。地方の総領事館へ申請するときは手続きが異なるかもしれないので、その総領事館へ問い合わせてください。


*現在の最新情報はフィリピン大使館のこのサイトで見られます(日本語)



 フィリピン大使館では現在、婚姻届のときに必要となる婚姻要件具備証明としてCertificate of No Objection(CNO,異議ないことの証明)を発行しています。

 申請できる人は、独身の人、再婚する人、前夫と死別して10ヶ月と1日たったのち再婚する人です。結婚予定の男女両方が大使館へ直接行かなければいけません。

☆ Certificate of No Objectionの申請手続に必要なもの

1・ パスポート(有効期限内のもの)。原本と、顔写真のあるページ、最後のページのコピー1部

2・ フィリピン政府の国家統計局(National Statistics Office)が出した出生証明書(birth certificate)で、フィリピン外務省認証局(Authentication Division, Department of Foreign Affairs)によって認証されたもの(赤いリボンが認証マークです)。原本1通とコピー1通。

3・ NSOが出した結婚未登録証明(Certificate of Non-Availability of Record of Marriage)で、フィリピン外務省認証局によって認証されたもの。(有効期限6ヶ月)。証明書を申請する目的は「For Marriage」としてください。原本1通とコピー1通。

4・
  A・申請人が18歳〜20歳の場合は、親の同意に関する宣誓供述書(Affidavit of Parental Consent。結婚の相手方の名前を明記したもの)を公証役場で公証してもらい、フィリピン外務省の認証を受けたもの。原本1通とコピー1通。
 
  B・申請人が21歳〜25歳の場合は、親の助言書に関する宣誓供述書(Affidavit ofParental Advice。結婚の相手方の名前を明記したもの)を公証役場で公証してもらい、フィリピン外務省の認証を受けたもの。原本1通とコピー1通。

  ★A又はBは、次の機関を通じて作成しなければいけません。
  1・フィリピンの公証役場(Notary Public)
  2・地域裁判所(Regional Trial Court)
  3・マニラのフィリピン外務省認証局(Authentication Division, Department of Foreign Affairs)

   もし両親が日本にいる場合は、大使館に来館して宣誓供述書を作ることができる場合もあります。

5・ 申請人の写真(縦4.5×横3.5で、背景がロイヤルブルーのカラー写真)2枚

6・ 結婚相手(日本人)の戸籍謄本(発行日が3ヶ月以内のもので、婚姻・離婚・死別歴が載っているもの)原本1通とコピー1通

7・ 結婚相手のパスポートか、運転免許証か、国民健康保険証と住民基本台帳カード。原本とコピー1通

8・ 結婚相手の写真(縦4.5×横3.5で背景がロイヤルブルーのカラー写真)2枚


☆申請料金
 基本料金 25アメリカドル
 身分に関する宣誓供述書(Affidavit of Civil Status) 25 アメリカドル
 戸籍謄本の英訳2通 50ドル
 合計 100ドル

支払いはアメリカドルか、日本円に換算した額(大使館へ問い合わせること)。

☆Certificate of No Objectionの申請手続きページ
http://tokyo.philembassy.net/consular-section/legal-miscellaneous/certificate-of-no-objection/

☆Certificate of No Objectionの申請書のダウンロードページ(注意・これは東京大使館あての申請書様式です)
http://tokyo.philembassy.net/downloads/ApplicationForm-CNO.pdf

在大阪・神戸フィリピン共和国総領事館
Philippine Consulate-General in Osaka 〒540-6124 大阪市中央区城見2-1-61 Twin21 MIDタワー24階 電話:06-6910-7881 総領事:マリア・ローデス・V・ラミロ・ロペス 氏 Ms. Maria Lourdes V. RAMIRO LOPEZ


☆当オフィスでは書類の翻訳、相談などを受けています。お気軽にお問い合わせください。

フィリピン人女性と離婚できますか

 先日、男性からこのような相談を受けましたが、その場では詳しくお答えできず、連絡先も記録していませんでした。なので、一般的な回答としてここへ掲載しておきます。

 フィリピンでは、フィリピン人同士は離婚できませんが、フィリピン人と非フィリピン人の国際結婚である場合には、次の3条件を満たせば、手続きすれば離婚できます(フィリピン家族法26条2項)。

 ・結婚が有効に成立していること
 ・フィリピン国外で、その非フィリピン人の離婚が有効に成立していること
 ・その離婚により、その非フィリピン人が再婚する資格を得ていること

 
これを日本人男性とフィリピン人女性の離婚に当てはめるならば、条件はこの2つです。

 ・結婚が有効に成立していること(フィリピンと日本の両方)
 ・日本で離婚が成立していること


 日本での離婚は、2人が合意していれば、離婚届を日本の役場へ出すだけです。そのあと妻に在日フィリピン大使館か総領事館、またはフィリピンの役所で手続きをしてもらい、フィリピンの側でも離婚を成立させます。

 一方が離婚に合意していない場合は、調停や裁判手続きになります。この場合、裁判管轄権の問題や、裁判の結果がフィリピン側で有効とならない可能性も出てきますので、弁護士、裁判所など専門機関への相談が必要になります。

別居したら在留資格は取り消されますか

*入管法改正により、日本人の配偶者、永住者の配偶者は6か月以上配偶者としての活動を行わない場合(不仲で同居していない場合など)、在留資格を取り消せるという規定ができました。この規定は、2012年7月9日に施行されます。(2012.5)

 

*近年、裁判所が「別居していても夫婦が助け合って生活している場合には、結婚が破たんしているとはいえない」と判断し、入管が夫婦別居している人に対して在留資格不許可にしたことを間違いと判定する判決が出ています。詳しくは、時間ができたら更新します。(2017.7)

 妻や夫として「日本人の配偶者等」や「家族滞在」の在留資格で暮らす外国人にとって、離婚とは、在留資格を失うかもしれない大きな問題です。「離婚」とは1日で起こるものではなく、実際にはけんか、別居、話し合い、調停、裁判などがあって離婚となるケースがほとんどです。

 入管では、法律上結婚していても、実際に夫婦の暮らしをしてないときには在留資格を認めない場合があります。審査の基準として重視しているのが「同居」しているかどうかの判断です。

すぐには、在留資格は取り消されません

 大切なのは、別居しているからといって入管が勝手に在留資格を取り消すことはできないということです。本人と連絡が取れる限りは、入管は本人から聞き取りをするなど一定の手続きをする必要があります(入管法第22条の4 2〜6項)。ただし、理由もなく入管から連絡がつかないような状態にしている場合は、聞き取りなしに取り消しの手続きを進められるので、注意してください。

 就労や留学の在留資格を持つ人については、3か月間その活動を行わない(失業したり、長期欠席しているなど)ときは、入管は在留資格を取り消すことができます(入管法第22条の4 5号)が、これに「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」は含まれていません。でも、2012年7月9日以降は、 「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」 は6カ月別居状態などになっていると、在留資格を取り消せるようになりました。

 「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」は身分資格といわれています。妻の「身分」がなくなったりしていないかを確認しなければ、取り消し処分を行えません。別居といっても、いろいろなケースがあります。

・暴力夫から逃げるための別居→通達で、人道上配慮すべきとされています。


・仕事で単身赴任のため別居→単身赴任は一時的なものであり、夫婦関係が破綻しているとは言い難いので、すぐには取り消せないケースです。
 
・不仲で別居→調停などで離婚するか復縁するか決めている最中かもしれません。仲人を入れて話し合いをしているところかもしれません。つまり、妻の身分がなくなったという「確定的な事実」はありませんから、夫婦の両方からの詳しい聞き取りが必要です(一方だけの話を聞いて判断することは、公平な審査とはいえません)。

 たとえば前回の期間更新のとき、同居していないのに「同居している」とうその申請をして許可を得ている場合などは、それを理由にして在留資格を途中で取り消すことはできます(入管法第22条の4 2号)。でも実際には、悪質な偽装結婚の疑いがある夫婦でなければ、入管もそこまで厳しい措置を取ることはありません(2008年現在)。

期間更新は、事情によっては許可されます

 在留期間更新のときには、別居していることを理由に不許可になることがよくあります。
 ただ、この場合にも、入管は詳しく別居の理由を聞いてきます。それは、「夫婦関係が元に戻る可能性があるとき」や「離婚に向けて調停や裁判の手続きをしているが、まだ結果が出ない」「出張や介護などで一時的に別居状態になっている」「暴力を受けていて、家に戻ると危険」などの場合には、人道的な措置として期間更新を許可する可能性があるからです。
 離婚調停中である場合は、「まだ結婚が破たんしたと決定していない」という理由で、不許可にはなりません。ただ、更新期間が6か月しか許可されないことが多いです。

 特に、家庭内暴力(DV)が原因で離婚に至る場合には、人道的な措置として定住者に資格変更できるケースもあるため、入管は事情を詳しくきいて慎重に判断します。DV被害者について特別に配慮すべきことを指示する通達も出ています(平成20年7月10日付法務省入国管理局長通達・法務省管総第2323号)。

 なので、別居状態になったら、6カ月以内に、将来どうしたいのか(結婚を続けたい、離婚したい、日本へ残りたい、再婚したいなど)を考えて準備を始めてください。もし入管から聞き取りの電話がかかってきたら、きちんと将来の予定を理由を説明して理解してもらうことが大切です。「働きたいから日本へいたい」という理由では認められないと思ってください。

*内容を一部訂正しました(2017.7.3)

離婚不受理申出の通達を掲載しました

 外国人と日本人の夫婦で、日本人が一方的に離婚届を提出しても市町村役場が受理しないように、前もって外国人が役場に行き、受理ストップをかけておく制度があります。不受理申出といいます。

 この制度は日本人同士の離婚手続きを想定して、2008年5月の戸籍法改正で正式に設けられました。

 この制度は外国人が対象となっていなかったため、外国人からの不受理申出も受け付けるよう定める追加の通達(法務省民一第1503号)が2008年5月27日に出されました。

 その通達1503号が手に入りましたので、以下に掲載しておきます。不受理申出をめぐって窓口でトラブルになったときなどに、ご利用ください。
http://news.visatojapan.com/?eid=724901#sequel

入管がDV通達(7月10日)

入管が7月10日付で、DV被害者保護に関係する在留審査と退去強制手続についての通達を、地方入国管理局長などへあてて出しました。

平成20年7月10日
法務省管総第2323号

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」及び「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針」に係る在留審査及び退去強制手続に関する措置について(通達)

http://www.gender.go.jp/e-vaw/kanrentsuchi/04/h_05_2323.pdf

主な内容は
1)地方入管へDV対策事務局を置き、DV対策について職員へ周知徹底すること
2)事情聴取などの場合のDV被害者への配慮について(母語を使った聴取、女性相談所等との連携)
3)DV被害者への在留審査について(旅券がなくても審査してもらえることなど。あとで詳しく書きます)
4)退去強制の手続きを受けている人がDV被害者である場合は、手続きを速やかに進め、在留特別許可を求めた場合は本省に請訓する(指示をあおぐ)こと

などです。4)については、良く分からないです。DV被害者だったら速効で出国させられるということなのかな。だとしたら、これは本当に本人のための保護措置なのでしょうか。

   ■

 また内閣府男女共同参画局のホームページで、法務省含む全省庁でのDV関係の主だった通知・通達が掲載されています。
http://www.gender.go.jp/e-vaw/kanrentsuchi/index.html


以下は、通達の中の「第4 DV被害者に係る在留審査」の全文です。

子連れ去り阻止条約 日本が締結へ

 国際離婚時に子供を母国へ連れ帰った場合、当事者国同士が協力して子供を連れ戻すよう義務付ける国際条約を、日本が結ぶ方針を固めたそうです。日本の締結は早ければ2010年になるそうです。5月9日の朝日新聞の報道に出ていました。

 「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」という名前で、現在の締結国は80カ国です。

 無断で子を母国に連れ帰ってしまった場合、もう一方の親が取り戻そうとしても、「外国では裁判の効力が及ばない」などの理由で、手が打てないのが実情です。

 報道によると、条約に加盟したら日本政府は担当機関を設置。そこを通じて相手国に子の返還を申し立てることができます。逆に他国から申し立てを受けた場合は、子どもの居場所を捜査し、出国禁止などの措置を取ったり、裁判手続きを援助しなければならないそうです。

 出入国管理を管轄する法務省が担当機関になる見込みとのことです。

   □

「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」
原文はこちら。


締結国
アルバニア、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チリ、中国、クロアチア、サイプラス、チェコ、デンマーク、エクアドル、エストニア、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、メキシコ、モナコ、モンテネグロ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パナマ、パラグアイ、ペルー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スロバキア、スロベニア、南アフリカ共和国、スペイン、スリランカ、スウェーデン、スイス、マケドニア、トルコ、ウクライナ、英国、アメリカ、ウルグアイ、ベネズエラ、アルメニア、バハマ、ベリーズ、ブルキナファソ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、フィジー、グアテマラ、ホンジュラス、マウリチウス、モルドバ、ニカラグア、セントキッツ島・ネビス島、サンマリノ、タイ、トリニダード・ドバゴ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ジンバブエ


外国人は離婚届不受理申出ができなくなりました(6・6以降はできるようになりました)

*この記事を投稿したあと、2008年6月6日から法務省の通達によって外国人からの離婚届不受理申出も受理してもらえるようになりました!!
平成20年5月27日付の法務省民一第1503号、民事局長通達だということです。(通達全文は最後につけています)
----------------------------------------------------------

 5月1日から戸籍法が改正され、離婚届の不受理申出制度が正式にできました。これは、夫婦の一方から一方的に離婚届を出されそうなとき、他方が役場に対して「離婚届を受理しないでほしい」と申し出れば離婚届を受理しないように取り扱う、というものです。これまでも市町村役場は法律で明文化されないまま不受理申出を受け付けていました(1回の申出による不受理の効力は6か月間でした)。

 それが今回から、正式に「申出者の本籍地の市町村長あてに不受理申出を出せば、受け付ける」と定められました。効力に期限はありません。1度出せば、効力はいつまでも続きます。

 ところが、この法律改正により、外国籍の人はこの不受理申出をしても受け付けられなくなりました。理由は、戸籍法27条の2第3項で、次のように定められているからです。

「第27条の2第3項
何人も、その本籍地の市町村長に対し、あらかじめ、法務省令で定める方法により、自らを届出事件の本人とする縁組等の届出がされた場合であつても、自らが市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを第一項の規定による措置により確認することができないときは当該縁組等の届出を受理しないよう申し出ることができる。」


 外国人は戸籍ではなく外国人登録により管理されています。だから「本籍地」がない。つまり「本籍地の市町村長に申し出ればよい」といっても、外国籍の人は本籍地がないから申し出できません、という論理です。

   □

 この措置は外国人にとって大きな問題を抱えています。なぜかというと、「日本人の配偶者等」という在留資格を持つ外国人にとって、離婚してしまうと「資格喪失→そのままでは日本にいられなくなる」からです。それがたとえ一方的な離婚であっても、です。

 この措置について、外国人支援関係者から法務局や法務省へ意見を出す動きがあります。経過を見守っていきたいと思います。

   □    

 また、夫婦の一方からの離婚届が受理された場合、来庁しなかった側に離婚届が受理された旨の通知を行うよう戸籍法27条の2第2項は定めています。ですが、外国人はこの通知の対象からも除外されています。根拠は、戸籍法施行規則第53条の4です。

「戸籍法施行規則
第53条の4 戸籍法第27条の2第2項の法務省令で定める方法は、戸籍の附票又は住民票に記載された現住所に、転送を要しない郵便物又は信書便物として書面を送付する方法とする。」


 外国人は戸籍や住民票によって管理されていないため、「戸籍の附票または住民票に記載された現住所」がありません。だから通知もしない、ということです。つまり、日本人の側から一方的に離婚届が出されても、外国人の側は離婚の事実を知らないまま過ごし、在留期限の更新時になって更新できないことに気づく、という可能性もあります。

   □

 以上の情報は岡山法務局と広島法務局の担当の方へ問い合わせて確認したことですが、全国で同一の取り扱いがなされているそうです。

 これは2008年5月時点の情報なので、今後通達等で外国人への扱いが変わる可能性もあります。当事者の方は、必ず市町村役場へ問い合わせて現状の扱いがどうなっているか尋ねてください。

   □

ほかの参考条文
「第27条の2第2項
市町村長は、縁組等の届出があつた場合において、届出事件の本人のうちに、前項の規定による措置によつては市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを確認することができない者があるときは、当該縁組等の届出を受理した後遅滞なく、その者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出を受理したことを通知しなければならない。」

外国人(がいこくじん)に夫婦別居(ふうふべっきょ)の自由(じゆう)なし

 別居していた外国籍の妻に遺族厚生年金が支払われないのは不当な差別だとして、岡山市に住む韓国籍の妻が12月17日、国の不支給処分取り消しを求める訴えを岡山地裁に起こしました。

 18日付山陽新聞によると、妻はDV(ドメスティックバイオレンス)が原因で1998年から夫と別居していました。そして夫が亡くなったため、2006年10月に遺族厚生年金の裁定を受けていました。ところが岡山西社会保険事務所は2007年2月に、別居している妻が夫の収入で生計を維持していたとは認められないとして裁定を取り消したのです。

   ◇

 この場合、どこが差別なのでしょうか。

 この妻は、別居していたことを理由に受給の裁定を取り消されました。でもこの人は「日本人の中には、別居しながら受給している人がいるではないか」と訴えているのです。

 どうも日本人は、別居していながら住民票だけは夫と同じ住所にしておくことで、かろうじて裁定を受けることができるようなのです。

 じゃあ外国人妻も、外国人登録の住所を夫と同じにしておけば良かったのに、といいたいところです。でも外国人は、5年ごとに外国人登録証を更新しなければいけません。日本人より管理が厳しいため、日本人のように登録した住所が事実と違うままで放置できないのです。

 書類の証拠(住民票と外国人登録)だけを見れば、役所の対応は正しかったことになるでしょう。問題は、日本人向けのの緩い住民登録制度に比べ、外国人の登録制度が厳しいということ。そのことが回り回って差別状態を生んだということでしょう。

   ◇

 外国人の結婚生活は、日本人より厳しいものです。日本人の配偶者という在留資格で住んでいる外国人は、日本人と別居できません。別居すると「結婚状態が破たんしている」とみなされ、入国管理局で在留資格を更新してもらえないからです。

 「家を出るなら入管に告げ口するぞ」と日本人パートナーに脅された、という外国人の話はよく聞きます。実際、よく入管へ告げ口電話がかかってくるようです。

 いろいろな管理の厳しさが、小さな問題を大きくして、外国人当事者を窮地に追い込んでしまう。これが外国人にとっての異国での「住みにくさ」なのだと思います。

   ■ □ ■

 別居(べっきょ)していた外(がい)国籍(こくせき)の妻(つま)に遺族(いぞく)厚生年金(こうせいねんきん)が支払わ(しはらわ)れないのは不当な(ふとうな)差別(さべつ)だとして、岡山市(おかやまし)に住む(すむ)韓国(かんこく)籍(せき)の妻(つま)が12月(がつ)17日(にち)、国(くに)の不(ふ)支給(しきゅう)処分(しょぶん)取り消し(とりけし)を求める(もとめる)訴え(うったえ)を岡山(おかやま)地裁(ちさい)に起こし(おこし)ました。

 18日(にち)付(づけ)山陽(さんよう)新聞(しんぶん)によると、妻(つま)はDV(ドメスティックバイオレンス)が原因(げんいん)で1998年(ねん)から夫(おっと)と別居(べっきょ)していました。そして夫(おっと)が亡くなっ(なくなっ)たため、2006年(ねん)10月(がつ)に遺族(いぞく)厚生年金(こうせいねんきん)の裁定(さいてい)を受け(うけ)ていました。ところが岡山(おかやま)西(にし)社会保険(しゃかいほけん)事務所(じむしょ)は2007年(ねん)2月(がつ)に、別居(べっきょ)している妻(つま)が夫(おっと)の収入(しゅうにゅう)で生計(せいけい)を維持(いじ)していたとは認め(みとめ)られないとして裁定(さいてい)を取り消し(とりけし)たのです。

   ◇

 この場合(ばあい)、どこが差別(さべつ)なのでしょうか。

 この妻(つま)は、別居(べっきょ)していたことを理由(りゆう)に受給(じゅきゅう)の裁定(さいてい)を取り消さ(とりけさ)れました。でもこの人(このひと)は「日本人(にほんじん)の中(なか)には、別居(べっきょ)しながら受給(じゅきゅう)している人(ひと)がいるではないか」と訴え(うったえ)ているのです。

 どうも日本人(にほんじん)は、別居(べっきょ)していながら住民票(じゅうみんひょう)だけは夫(おっと)と同じ(おなじ)住所(じゅうしょ)にしておくことで、かろうじて裁定(さいてい)を受ける(うける)ことができるようなのです。

 じゃあ外国人(がいこくじん)妻(づま)も、外国人(がいこくじん)登録(とうろく)の住所(じゅうしょ)を夫(おっと)と同じに(おなじに)しておけば良かっ(よかっ)たのに、といいたいところです。でも外国人(がいこくじん)は、5年(ねん)ごとに外国人(がいこくじん)登録(とうろく)証(しょう)を更新(こうしん)しなければいけません。日本人(にほんじん)より管理(かんり)が厳しい(きびしい)ため、日本人(にほんじん)のように登録(とうろく)した住所(じゅうしょ)が事実(じじつ)と違う(ちがう)ままで放置(ほうち)できないのです。

 書類(しょるい)の証拠(しょうこ)(住民票(じゅうみんひょう)と外国人(がいこくじん)登録(とうろく))だけを見れ(みれ)ば、政府(せいふ)の対応(たいおう)は正しかっ(ただしかっ)たことになるでしょう。問題(もんだい)は、日本人(にほんじん)向け(むけ)のの緩い(ゆるい)住民登録(じゅうみんとうろく)制度(せいど)に比べ(くらべ)、外国人(がいこくじん)の登録(とうろく)制度(せいど)が厳しい(きびしい)ということ。そのことが回り回っ(まわりまわっ)て差別(さべつ)状態(じょうたい)を生ん(うん)だということでしょう。

   ◇

 外国人(がいこくじん)の結婚(けっこん)生活(せいかつ)は、日本人(にほんじん)より厳しい(きびしい)ものです。日本人(にほんじん)の配偶者(はいぐうしゃ)という在留(ざいりゅう)資格(しかく)で住ん(すん)でいる外国人(がいこくじん)は、日本人(にほんじん)と別居(べっきょ)できません。別居(べっきょ)すると「結婚(けっこん)状態(じょうたい)が破たん(はたん)している」とみなされ、入国(にゅうこく)管理(かんり)局(きょく)で在留(ざいりゅう)資格(しかく)を更新(こうしん)してもらえないからです。

 「家(いえ)を出る(でる)なら入管(にゅうかん)に告げ口(つげぐち)するぞ」と日本人(にほんじん)パートナーに脅さ(おどさ)れた、という外国人(がいこくじん)の話(はなし)はよく聞き(きき)ます。実際(じっさい)、よく入管(にゅうかん)へ告げ口(つげぐち)電話(でんわ)がかかってくるようです。

 いろいろな管理(かんり)の厳し(きびし)さが、小さ(ちいさ)な問題(もんだい)を大きく(おおきく)して、外国人(がいこくじん)当事者(とうじしゃ)を窮地(きゅうち)に追い込ん(おいこん)でしまう。これが外国人(がいこくじん)にとっての異国(いこく)での「住み(すみ)にくさ」なのだと思い(おもい)ます。

中国人との結婚に「都市伝説」あり

 先日、中国人の女性と日本人男性の夫婦のことで相談を受けました。相談内容とは別に、「実は日本で先に婚姻届を出したので、(女性側は)中国では未婚状態なんですよねー」とおっしゃっていました。

 中国人と結婚するとき、都市伝説的に語り伝えられているのが、この「日本で先に結婚すると、中国ではその結婚が有効だと認められない(のではないか)」という不安の声です。

   ◇

 結論から言うと「日本で行った結婚は中国でも有効」なのです(2007年11月現在)。どうしてこんな誤解が起こるのでしょうか。まず、中国人と日本人の結婚がどうやって法律的に成立するか見てみましょう。

(1)普通日本で国際結婚する場合、中国人なら中国法、日本人なら日本法を見て、法律上の結婚の条件(結婚可能年齢に達していることや重婚でないことなど)を満たしていれば、結婚条件は満たされていることになります。これを実質的要件といいます。

(2)次に、有効な手続きの方法ですが、これは中国人と日本人の場合、結婚をする土地の法律に従えば有効とされます。つまり日本の役所に届ければOK。これを形式的要件といいます。


 で、どちらの国でも「結婚した」事実を残すため、両国で手続きをします。最初の国でした婚姻手続きを婚姻の「創設的届出」、次の国での手続きは「報告的届出」といいます。最初の国で婚姻が有効に成立している訳ですから、あとの国には「報告」で足りる、ということです。

【誤解1】
 ところが、日本の中国総領事館では「報告的届け出」というのを受け付けないのです。「日本で結婚したのなら、中国でも有効なんだから報告など不要」というのが中国側の見解。まあ、ごもっともです。このとき「婚姻自体を受け付けてもらえなかった」と思う人がいたようです。(日本の婚姻証明を両国の政府機関で認証してもらえば、それが中国でも通用する婚姻の証拠となります)

【誤解2】
 中国では結婚の証明は、結婚証と戸口簿(中国版の戸籍)に記載されますが、結婚証は中国で最初に結婚したときしか発行されません。ということは、日本で先に結婚した人は、あとは戸口簿を「未婚」から「既婚」に訂正するしか中国文書での証明手段がないわけです。 

 それなのに、中国で戸口簿を訂正するのではなくて、結婚証をもらおうとした人がいました。すると、中国の婚姻登記処の人は、日本人にこういいます。「あなたは日本戸籍上は、もう結婚していますね。独身でない人は結婚できません」。で、またもや「中国で婚姻を受け付けてもらえなかった」と思うわけです。

 日本政府はどうしているかというと、海外の日本総領事館に婚姻の報告的届出があったら、それを受理し、日本の役所へ送って戸籍も書き変えてくれます。でも中国の場合、自分が中国で手続きしないといけないのです。お国柄の違いですね。

 中国側が「届け出不要」と言っているということは、戸口簿を訂正するのに期限はないと理解できるので、焦って訂正することはありません。ただ、「独身」とみなされることで、中国に帰った時に手続きや処遇でトラブルが生じる可能性はあります。

【誤解3】
 最後は、昔は無効だったのに、中国側の解釈の変更によって今は有効になっているという場合。これは中国人が中国にいて、日本人が日本にいるまま、婚姻届だけ日本の役所へ提出した場合です。

 少なくとも1991年時点の中国政府は、これを純粋な「日本側での結婚」とは認めていなかったようです。なので中国政府は「この結婚は無効」と判断していました。ちなみに中国では、夫婦そろって婚姻登記処へ行かないと結婚証がもらえません。(ここは私の推測ですが、カップルのうち1人でも中国にいるなら結婚挙行地は中国とも考えうるので、中国法に従って婚姻手続きをするべき、という論理があったのかもしれません)
 
 それが、2002年には中国側の法解釈が変わったと思われる法務省内部通知が出てきました。それによると、中国政府は上の例でも有効な結婚だと認めるようになったとのことです。

 とにかく大切な点は、日本で婚姻届が受理された中国人と日本人のカップルは、日本でも中国でも有効に夫婦と認められているということです。よく跛行婚(はこうこん)ではないかと誤解しがちですが、違います。(跛行婚とは、一方の国では有効だけど、他方の国では無効である結婚の状態をいいます)

 ただ、今後また中国の見解が変わり、結婚の有効性が認められなくなる例が出てくるかもしれません。だから、確実に両国で結婚するには、やはり中国で先に結婚手続きをすることをお勧めします。

   ◇

■1991年時点の中国側の見解を示す法務省の内部通知

[平成3年8月8日付け法務省民二第4392号民事局第二課長通知](要旨)
 渉外的婚姻の準拠法は、法例第13条第1項により、実質的成立要件は各当事者につきその本国法によることとされ、同条第2項又は第3項により、形式的成立要件は婚姻挙行地の法律又は当事者の一方の本国法によることとされ、当事者の一方が日本人である場合に、その者が日本において婚姻するときは日本法によるとされています。したがって、日本に在る日本人と外国に在る外国人の婚姻届が、市区町村長に届出され、受理された場合は、日本法により有効に婚姻が成立することとなります。
 しかしながら、在東京中国大使館領事部の見解では、日本に在る日本人と中国に在る中国人が我が国の方式により婚姻したとしても、中華人民共和国民法通則第147条は適用されないため、同国婚姻法に規定する実質的成立要件及び形式的成立要件を具備しているとは判断できないので、中国政府としては有効な婚姻とは認めないということです。このため、中国人配偶者が日本に渡航しようとしても、旅券(譲照)が発給されない等の問題が生じています。
 なお、中国人についての実質的成立要件は、(1)重婚でないこと(中華人民共和国婚姻法3条)、(2)婚姻意思があること(同4条)、(3)法定婚姻年齢(男満22歳・女満20歳)に達していること(同5条)、(4)近親婚でないこと及び医学上結婚すべきでないと認められる病気に罹っていないこと(同6 条)等です。
 そこで、今後、標記の届出がなされた場合には、下記の点に留意して受理するよう貴管下支局長及び市区町村長に周知方取り計らい願います。

   記

1 届出事件本人に対し、日本法上婚姻届は受理できるが、中国政府はこれを有効な婚姻とは認めない旨を説明し、当事者がそれでも受理を希望する場合には受理して差し支えない。
2 使者又は郵送による届出の場合は、1によることなく、そのまま受理して差し支えない。
3 婚姻届を受理するに当たっては、婚姻要件具備証明書(又は公証員等が証明した独身証明書及び性別・出生年月日に関する証明書並びに婚前健康検査証明書(病院で証明したもの))のほか国籍を証する書面を添付させること。


■2002年時点の中国側の見解を示す法務省の内部通知

[平成14年8月8日付け法務省民一第1885号民事第一課長通知](要旨)
 日本人と中国人を当事者とする婚姻について
 標記についての中華人民共和国の見解が下記のとおり明らかとなりましたので、これを了知の上、貴管下支局長及び管内市区町村長に対し周知方お取り計らい願います。
 なお、平成3年8月8日付け法務省民二第4392号民事局第二課長通知は廃止します。

   記

1 日本国に在る日本人と中華人民共和国に在る中国人が日本において婚姻した場合であっても、同国民法通則第147条が適用され、同国国内においても有効な婚姻と認められる。したがって、当事者は同国国内であらためて婚姻登記又は承認手続を行う必要はない。
2 日本国の方式で婚姻したという証明は、日本国外務省及び在日本国中華人民共和国大使館又は領事館において認証を得れば、同国国内でも有効に使用できる。

■中国の国際私法である「中華人民共和国民法通則第147条」
中華人民共和国公民と外国人の婚姻には、婚姻締結地の法律を適用し、離婚には案件を受理した裁判所の所在地の法律を適用する。

| 1/2PAGES | >>