links

categories

archives

岡山県が中国人向け医療観光ツアー戦略

 「医療観光ツアー」で富裕層の中国人客を呼び込むため、岡山県がモデル事業として岡山市内の4旅行会社にツアーの企画・実施を委託するという報道が、8月25日付山陽新聞に出ていました。今秋から大連、北京、洛陽などを中心にツアー客の募集を始めるそうです。現在のところ、県内の5病院が受け入れを予定しています。

 岡山県内の病院は移植、脳分野など高度先進医療への取り組みが積極的で、岡山空港から大連・上海・北京便も出ているという地の利もあります。県はかなり早く政策を打ち出したなーと思います。

   □   □

 日本政府は2010年6月に閣議決定した「新成長戦略」の中で、「アジアの富裕層等を対象とした健診、治療等の医療及び関連サービスを観光とも連携して促進していく」と明言。そして在中国日本大使館や総領事館のホームページに、治療・検診目的での短期ビザに関する案内ページを年内につくることが明らかになりました(9月5日付読売新聞)。
 
 日本へ観光に来るために欠かせない「短期ビザ(観光目的で来る人に発給)」も、緩和が進んでいます。2009年7月から、中国人の個人観光客に対するビザは年収25万元(約300万円)以上の富裕層に解禁されました。それが2010年7月にはさらに、中間層の個人観光客にもビザを発給することにしました。

 発給要件について、外務省は「一定の職業上の地位及び経済力を有する者」とだけ述べて具体的な基準を明かしていません。が、日本経済新聞の報道ではかなり詳しく要件が明らかにされています。こういうとき頼りになる報道機関!

 日経新聞によると、発給要件は
(1)大手のクレジットカードの「ゴールドカード」を保有
(2)官公庁や大企業の課長級以上
(3)年収数万元以上の安定収入
などの条件を総合的に判断するのだそうです。

また、世帯主が条件を満たせば2親等以内の家族の単独渡航も認められます。

 ほかに、

(1)中国本土内の北京、上海、広集、重慶、瀋陽、青島、大連の全公館で申請を受け付けられるようになった(それまでは北京、上海、広州のみ)
(2)申請を代行する旅行会社を48社から290社に拡大した

 こともあり、外務省はビザの発行対象世帯が1600万世帯程度(これまでの約10倍)にふえると予測しているそうです。

□   □

 そういえば日本のカード会社から先日、「銀聯提携カード」の発行を始めたというDMが届いていました。NPO業界では「医療通訳の養成を急がなければ」という話もよく聞きます。この医療観光ツアー戦略は、かなり現実味を持って影響を広げているようです。

中国人への個人観光査証の年収基準緩和


発表サイトはこちら


平成22年5月18日

1. 中国人の訪日観光は,平成12年9月から,団体観光の形式で実施されています。また,より少人数で自由な観光との要望にこたえ,平成21年7月から,一定の条件を満たす個人観光客に対しても査証を発給しています(本年6月までは試行期間)。これらの措置も背景に,日中間の人的交流は健全に発展してきました。

2. 政府の「新成長戦略(基本方針)」に,訪日外国人の増加に向けて「査証の取得容易化」等を図るとされたことを受け,個人観光客の査証申請について,本年7月1日から,在外公館における査証審査体制の整備を図りつつ,以下の措置をとることとしました。

(1)「一定の条件」の緩和(「十分な経済力を有する者」から「一定の職業上の地位及び経済力を有する者」に)

(2)申請受付公館の拡大(3公館から7公館(中国本土における全公館)に)

(3)取扱旅行会社の拡大(48社から290社に)

3. これにより,観光分野における日中間の人的交流が,企業や政府機関の中堅幹部等を中心に,一層発展することが期待されます。

(別紙)中国人に対する査証発給数(PDF)

* ビザ(査証)
* 領事局 外国人課


   □   □

 5月13日の朝日新聞によると、個人観光旅行者の収入要件が緩和され、

(1)大手クレジットカード会社発行のゴールドカードを所有しているか、年収約6万元(約80万円)以上の収入がある

(2)官公庁や大手企業に勤めている

――などが発給の要件となるそうです。

 中国人の個人観光客への査証発給は、昨年7月からは年収25万元(約340万円)以上の富裕層などに限定していました。昨年の中国の都市住民1人当たりの年間可処分所得は約1万7千元(約23万円)だそうです。

7月から中国人の個人旅行に観光ビザ

中国人の個人旅行に観光ビザを出すという、外務省のお知らせです。一定の条件を満たす個人のみを対象としているようですが、詳細は書かれていません。産経新聞は「4人以上のグループ旅行で添乗員付き」という条件だと報道していますが、より正式な情報を待ちたいと思います。

 発表サイトはこちら

平成21年5月1日

1. 観光分野における日中間の交流を促進するため、これまでの団体観光客に加え、個人観光客に対しても査証を発給することとし、7月1日(水曜日)より査証申請を受け付けることとしました。

2. 中国人の訪日観光は、平成12年9月より団体観光の形式(4名以上のグループ。添乗員が同行)で実施されています。近年、訪日観光客の増加とともに、より少人数で自由な観光を求める要望が寄せられていることから、今般、団体観光の形式に依らない場合にも、一定の条件を充たす中国人個人観光客に対して査証を発給することとしました。

3. 1年間は、個人観光査証の試行期間と位置づけ、北京、上海、広州における在外公館においてのみ査証申請を受け付けますが、条件が整えば、中国における全公館(香港総領事館を除く)で受け付けるようにする予定です。

4. 日本としては、今般の査証緩和措置が、日中間の健全な人的交流促進につながることを期待しています。

延長できない短期ビザの話(後日談あり)

 今日は入管に行ったら、短期滞在ビザでやってきたという南米のおじいちゃんと、おそらく結婚して日本で暮らしているであろう、娘さんらしき人が来ていました。

 外務省が発行する短期滞在のビザは、90日、30日、15日のどれかの在留期限をもらえます。なんでもおじいちゃんは南米の日本総領事館で「日本の生活に慣れることができないかもしれないから、とりあえず30日だけ出しましょう」と言われ、30日間のビザしかもらえなかったのだそうです。

 だけど、夏休みに孫たちが集まってくるので、何とか夏休みまでいたい。それで短期滞在ビザの期間更新をしたい、と相談に来たのです。

 短期滞在ビザ(正確にいうと入国後は自動的に「短期滞在」という種類の在留資格を持つことになり、ビザは失効します)は、ほんの限られた事情がある場合以外は、まず期間の更新が認められません。それは、たとえば次のような場合です。

*娘の出産の介護のために来日し、在留期限がきたけれどまだ介護が必要なとき。
*大けがや病気で入院し、帰りの飛行機に乗れないとき。

 でも、この「常識」を知っている人は、実はあまりいません。

   □

 なので、おじいちゃんも期間更新は認められませんでした。きっとおじいちゃんは、出発前に行った総領事館の人の口ぶりから、簡単に日本で滞在期間を延長してもらえると思っていたのでしょう。

 南米から日本まで、飛行機で20万円かそれ以上かかります。次は何年後、いや何十年後に来られるのでしょう。

 「日本の生活に慣れることができないかもしれないから、とりあえず30日だけ出しましょう」なんて、悲しいですね。そんな理由が本当なら腹立たしいと思います。でも何も知らず30日のビザをもらい、そして日本の入管に来たおじいちゃんは、ただ「何とかしてほしい」という顔をして、黙ってたたずんでいました。



 後日談です。本日、ある電話相談が入りました。

少人数中国人家族に観光ビザ 3日から

 外務省は2月29日、少人数(2,3人)の中国人家族に対する観光ビザを3月3日から発給すると発表しました。

 これまでは中国人の観光ビザに関しては、団体旅行による観光のみ認められてきました。今回のビザ発給開始によって、中国人が家族単位で自由に日本国内を旅行できるようになります。

 今後観光を認められる中国人家族とは、次の条件を満たす家族です。
(1)2人または3人
(2)一定の経済力がある


 具体的な手続き情報はまだ出ていないようです。行政書士の間の話では、これは中国の裕福層をターゲットにして、日本旅行で金を落としてもらうための政策であるという噂です。

| 1/1PAGES |