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「投資・経営」から「経営・管理」へ(2015.4〜)

在留資格「投資・経営」は、2015年4月1日から「経営・管理」という在留資格に変わります。大きなポイントは次の通りです。

☆500万円以上の投資を本人が行う必要はない

これまでは、「投資者かつ経営者」としての在留資格を取る条件は「本人による500万円以上の投資+経営」でしたが、これからは、誰がお金を出そうと「500万円以上の投資規模の事業者(個人、法人)」へ経営者(取締役など)として迎えられた場合には、在留資格が取れることになります。

☆外資の事業者である必要はない

これまでは、経営者又は管理者(部長、課長など)として会社で働く場合、その会社は外国資本でなければいけないという規制がありましたが、今後は日本資本の会社の下で働いてもよいことになります。

入管の説明によると、この改正の目的は「日本の会社が優秀な海外の人材をヘッドハントして役員や管理職として雇えるようにすること」です。

  □     ■

では、外国人が1人で会社を興して在留資格を取ろうとする場合、今回の改正はどう影響してくるのでしょうか。

まず、「投資・経営」においてネックであった「自費での500万円の調達」が不要になったことで、準備のハードルが一気に下がると思います。とにかくだれからでもお金を借りて資本500万円の会社をつくればよいのですから。

そのほかの条件「事務所を備えること」「従業員2名を雇う規模の事業であること(現業ビジネスでは特に強く要求されます)」「管理職なら管理経験3年以上」などは、今まで通りです。

これまで「500万円の壁」で起業をあきらめていた方は、もう一度チャンスが巡ってきたかもしれません。ただ、本当に事業をやる気があるのかどうかを厳しくチェックされますよ〜。一番高いハードルが下がった分、審査ではほかのハードルを少し上げるのではないか、と私は思っています。

1社で2人が投資ビザを取る基準(入管公表2012.3.30)

 在留資格「投資・経営」の基準の明確化
(2名以上の外国人が共同で投資し,事業を経営する場合の取扱い)

平成24年3月30日
法務省入国管理局

外国人が我が国において,相当額の投資を行って事業を起こし,その経営又は管理に従事する場合については,該当する在留資格として,「投資・経営」の在留資格が考えられますが,この場合,前提として,当該外国人が事業の経営又は管理に実質的に参画していること,すなわち,事業の運営に関する重要事項の決定,事業の執行若しくは監査の業務に従事する活動を行っていることが必要となります。
共同で事業を起こした複数の外国人がそれぞれ役員に就任するような場合には,それぞれの外国人が従事しようとする具体的な活動の内容から,その在留資格該当性及び上陸基準適合性を審査することとなります。
こうした在留資格「投資・経営」に係る運用の明確化の観点から,2名以上の外国人が共同で起業し,他に従業員がいない状況で,それぞれ役員に就任しようとする場合において,これら外国人全員に在留資格「投資・経営」が認められる事案の基本的な考え方と該当する事例について,次のとおり公表します。

1 基本的な考え方

「投資・経営」の在留資格に該当する活動は,先に述べたとおり,事業の経営又は管理に実質的に参画する者としての活動ですので,役員に就任しているということだけでは,当該在留資格に該当するものとはいえません。
また,複数の外国人が事業の経営又は管理に従事するという場合,それぞれの外国人の活動が「投資・経営」の在留資格に該当するといえるためには,当該事業の規模,業務量,売上等の状況を勘案し,事業の経営又は管理を複数の外国人が行う合理的な理由があるものと認められる必要があります。
実際には,それぞれの外国人の事業への投資額,従事することとなる具体的な業務の内容,役員として支払われることとされる報酬額等を勘案し,これらの外国人の行う活動が事業の経営又は管理に当たるものであるか否かを判断することとなります。
上記の考え方を更に具体化すると,

(1)事業の規模や業務量等の状況を勘案して,それぞれの外国人が事業の経営又は管理を行うことについて合理的な理由が認められること,

(2)それぞれの外国人が相当額の投資をしていること,

(3)事業の経営又は管理に係る業務について,それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること,

(4)それぞれの外国人が経営又は管理に係る業務の対価として相当の報酬額の支払いを受けることとなっていること

等の条件が満たされている場合には,それぞれの外国人全員について,「投資・経営」の在留資格に該当するとの判断が可能といえます。

2 該当する事例

 具体的な事例としては,次のようなものが考えられます。

事例1

外国人A及びBがそれぞれ500万円を投資して,本邦において輸入雑貨業を営むX社を設立したところ,Aは,通関手続をはじめ輸出入業務等海外取引の専門家であり,Bは,輸入した物品の品質・在庫管理及び経理の専門家である。Aは,海外取引業務の面から,Bは,輸入品の管理及び経理面から,それぞれにX社の業務状況を判断し,経営方針については,共同経営者として合議で決定することとしている。A及びBの報酬は,事業収益からそれぞれの投資額に応じた割合で支払われることとなっている。

事例2

外国人C及びDがそれぞれ600万円及び800万円を投資して,本邦において運送サービス業を営むY社を共同で設立したところ,運送サービスを実施する担当地域を設定した上で,C及びDがそれぞれの地域を担当し,それぞれが自らの担当する地域について,事業の運営を行っている。Y社全体としての経営方針は,C及びDが合議で決定することとし,C及びDの報酬は,事業収益からそれぞれの投資額に応じた割合で支払われることとなっている。
平成23年度中に該当事例はありませんでしたが,いずれにしても,個別の申請ごとに,企業等の事業活動及び従事することとなる具体的な業務に基づき,当該外国人の活動が前述の(1)から(4)に掲げる条件を満たしているものであって,経営又は管理に当たるものであるものといえるかを判断することとなります。

    ■   □

 これまでは、既存の外国人会社へ名前だけ役員に加わり投資ビザを取ろうとする人がいたり、1人分の投資額(500万円)程度しかなくて2人が投資ビザを申請したり、ということがあったということです。

 たとえば役員2名で社員ゼロの会社などは、それぞれの役員が同じ業務をするのなら2人も役員はいらないだろう、と判断されることになります。この場合、1人は投資経営、1人は就労の在留資格で許可を受けられる可能性はあります。こうしたケースで判断に迷う場合は、いつでもご相談ください。

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