滋賀県で合計10日間あった「多文化共生マネージャー養成」研修が終わりました。(写真は視察先のラジオ局です)
多文化共生施策を地方で行う際の課題調査、計画立案方法を実習しました。一言で言うとつまらなそうですが、最後まで読んでください(笑)。
【研修の表テーマ】
自治体は、最近まで外国籍の人を住民サービスの対象として明確に認識はしていませんでした。それが最近、外国人の多い都市を中心に「外国籍でも税金を納めているし、人権もある。住民サービスを受ける対象であると認めて施策を行わなければいけない」という意見が優勢になってきています。
すべての自治体がこれを「外国籍住民の権利」と言いきっているわけではありません。ここに不安定さが残るものの、外国籍の人を「住民」と認め、住みやすい街づくりのために税金を使っていこう、という方向性があります。
(ちなみに岡山市は今回の多文化共生プラン案で、「権利」と明記しています)
ですが、これまで「見えない存在」「データからこぼれる存在」であった外国籍の人たちの実態は把握できません。問題が見えない状態で、どうやったら効果が上がるのか。言葉、文化の問題を解決する専門家をあまり持たない自治体が、どうやってアプローチすればいいのか。自治体の人たちは手探りで進んでいるのです。
そこで、研修では「資金と施策実行力を持つ自治体」と「すでに外国人への公益的サービスを担っている草の根NPO・NGO」が手を組んで、効果的な施策をつくり実行する、という手法を教えています。
【研修の裏テーマ】
NPO・NGOと自治体職員。この二種類の人たちはすでに、活動する上での「文化」が違います。
NPO・NGO=収入不安定、好きな分野だけ選んで活動、活動の社会性・公正さを見極めにくい、個人プレーもあり、柔軟な対応可能(団体によって差がありますが、とりあえずこんな感じで)
自治体=収入安定(税金)、受益者への公平なサービス(または少数者切り捨て。局部的にサービスしにくい)、活動に社会性・公正さがある、責任明確(外部チェックが厳しい)、組織の論理で動く(個人プレーできない)、柔軟に対応しにくい
こんな二種類の人たちが一緒に多文化共生施策を行うとき、まず取りかかるべきなのは、このNPO・NGOと自治体の「二文化共生」です。
10日間の研修で、この「二文化」の人が同じテーブルにつき、冷静でかつ情熱を持って同じ問題に取り組めるようになるのか……。これは私も、とても新鮮な体験でした。
NPOとして参加した私は、まさに「自治体の人とどう対話し、提案していけばいいのか」を表と裏から(笑)、学ばせてもらいました。表だけを教えてくれる所はあるでしょうが、裏を教えてくれる所はきっと日本でここだけでしょう。あ、裏は賄賂(わいろ)じゃありません(笑)。
□
この業界(?)では名だたる行政関係者、NPO・NGOリーダーの方々が10日間でざっと15人くらい、講師やゲストとしてお話してくださいました。多文化共生のために険しい道を切り開いた、不屈の人です。分かりやすく言うと、濃い人ばかりです(笑)。
□
研修は「自治体国際化協会(CLAIR)」と「全国市町村国際文化研修所(JIAM)」が共催しています。自治体や外郭団体、そして行政と協働事業をしているNPO・NGOが参加できます(推薦状必要)。交通費が全額補助されるので、参加者は10日間の宿泊、食費として計3万円程度を負担するのみ。敷居の低さが魅力です。今年度はもう1回、研修のチャンスがあります。興味のある方は、
こちらから応募してください。
http://www.jiam.jp/workshop/seminar/20/tr08012.html
平成20年度 多文化共生マネージャー養成コース第2回
期日
10日間(平成20年11月17日(月)〜21日(金)、平成21年1月26日(月)〜30日(金))
場所
全国市町村国際文化研修所(滋賀県大津市唐崎2丁目13番1号)
募集人員
25名
締切
9月12日
内容
【前期】外国人住民に関する諸制度の理解(制度編)
* 多文化共生に関する施策の概要
* 外国人住民と法制度(出入国管理政策、自治体施策の変遷、医療・保健・福祉分野、生活相談と法、外国人児童・生徒の教育など)
* 多文化共生施策推進への期待
* 演習(個別課題解決)
【後期】多文化共生施策推進体制づくり(実践編)
* 自治体における事例紹介(指針・基本計画、NPOとの連携など)
* 実地研修(外国人コミュニティや教育現場の視察、意見交換)
* 演習(多文化共生のための3か年計画づくり)
私が参加した時の講師陣(敬称略)
田村太郎(NPO法人多文化共生センター大阪代表理事)
渡邉浩之(総務省自治行政局国際室課長補佐)
井口泰(関西学院大学経済学部教授)
太田晴雄(帝塚山大学人文科学部教授)
北村広美(NPO法人多文化センターひょうご代表)
村松紀子(財団法人兵庫県国際交流協会外国人県民インフォメーションセンタースペイン語相談員)
アンジェロ・イシ(武蔵大学社会学部准教授)
榎井縁(財団法人とよなか国際交流協会事業課長)
中村浩一(足立区区民部区民課多文化共生係長)
金 迅野(川崎市ふれあい館職員)
吉富志津代(NPO法人多言語センターFACIL理事長)
伊井直明(兵庫県子ども多文化共生センター主任指導主事)
松原マリナ(NPO法人関西ブラジル人コミュニティ理事長)
森木和美(NGO神戸外国人救援ネット)
山村昭(神戸市国際交流課主査)
清瀬聡(兵庫県国際交流協会多文化共生課課長補佐)
修了者には、こんな認定書がもらえます。香山充弘理事長は、1992年から2年間ほど岡山県副知事を務めていらっしゃったそうです。
